石井デザイン部長はオレンジの差し色に、かなりの拘りがあったのだろう。ヴィジブ フューチャー コンセプトのデザインポリシーは、かなり忠実に具現化されていた。 その思いを汲み入れて、
イメージリーダーを導入した。
コンセプトカーのエッセンスを注ぎながら、
ブランドステータスを損なわずに作り込むという、
二極それぞれをバランスさせていた。
写真を撮ることは許されなかったが、
アドバンスのブラックインテリアをじっくり見た。
いよいよスペックの公表が解禁され、
プレカタログが配布され、
参考価格も明らかになった。
導入を決めた試乗車候補は、
X-BREAKのパールホワイトで、
パワーリヤゲートを持つクルマだ。
これを導入する理由は、
まず第一に若々しさを持つからだ。
恐らく若い女性も中心に加わり、
コーディネートされたはずだ。
いくらおっさんがオレンジが嫌だと言っても、
娘たちの世代は「良いじゃない」と言う。
だから素直に表紙を飾るクルマを選んだ。
試乗車にX-BREAKを選ぶのは初めてだ。
あまり注目してなかったが、
今度のクルマはなかなか意欲的だ。
専用の撥水ファブリックでオレンジステッチを持つ。
でもSUBARUよ、
もし実物を見て気に入らなかったら、
覚悟して欲しい。
STIのtSで、
あれほど気持ちが悪いと言ったのに、
まだやると言う事は相当な自信があるからだろう。
あの時にこのプロジェクトが既に動いていて、
止めようがなかったなどと、
おかしな言い訳は絶対に聞きたくない。
実物を見るのが楽しみだ。
シートの写真を見ると、
どうもXVの導入でも検討されたのではないか、
そう思えるほどオレンジの外装色を意識している。
X-BREAKは元々スポカジ路線をより強調したものだ。
それは今度も変わりない。
車種選択に当たり、
Sリミテッドの置き換えに当たるプレミアムと詳細に比べた。
するとオレンジの差し色が嫌でたまらないが、
装備を見ると実に的を得ていて、
価格的にもお買い得だった。
プレミアムの中心グレードは291万円で、
パワーリヤゲートを付けると5万円高の296万円だ。
オプション構成に差があるし、
タイヤ系も18インチと大きい。
そこでX-BREAKを詳しく見た。
ツーリングベースであることは共通だが、
オールシーズンタイヤを履く。
それにLEDランプを多用した、
ラギットなカーゴルームは、
これまで以上に刺激的かつ実用的だ。
こちらにパワーリヤゲートを装備し、
パールホワイトを選ぶと、
ベース価格から八万円高くなる。
それでも車両価格は税別288万円とプレミアムより8万円安い。
一つ色で安心しているのは、
今回の差し色を「オレンジ」ではなく、
「レッドオレンジ」と呼んでいることだ。
アウトバックの特別仕様車、
X-ADVANCEを覚えているだろうか。
あのクルマの差し色は「イエローグリーン」だった。
単純なグリーンではなく、
透明感のある爽やかな色だ。
レッドオレンジをまだ見た事無いけれど、
SUBARUのカラーチームの事だから、
センス良くまとめた可能性が高い。
と言う訳で最終的に「X-BREAK」に落ち着いた。
出張から戻っても、
一向にのんびりできない。
それどころか、
次のテストが待ち構えていた。
そこで偶然にも面白い事実を知る事になった。
このレガシィは、
新たにレパートリーに加わった、
平成18年のツーリングワゴンだ。
オブシディアンブラック・パールの外装が素敵だ。
2.0GTで、
センターデフ式AWD5速マニュアルを持つ、
実にアグレッシブなクルマだ。
このミッションと組み合わされた、
4カムの水平対向ツインスクロールチタンターボエンジンは、
6400回転で280馬力を発揮する。
そして1800回転の領域で最大過給圧に達し、
35kg・mの最大トルクを2400回転という低い所から発生する。
このレガシィは前のモデルに比べ100㎏の軽量化と、
最高の安全性能を引っ提げて誕生した。
このテストで感じた事を伝えたい。
本革巻のシフトノブは、
ステアリングホイールと同じように、
少しやれた感じがする。
やはり本革巻だと、
使い込み感が現れるが、
それは年式に程良くマッチした「味」だ。
レガシィプレミアムサウンドシステムと、
クリーンフィルター付フルオートエアコンをセンターパネルに搭載。
灰皿が時代背景を感じさせる。
エレクトロルミネセントメーターには85800kmの距離が示される。
トリップメーターをリセットし、
運転席8WEYパワーシートを調節してベストポジションを得た。
このクルマはベースグレードのすぐ上で、
HIDプロジェクターロービームとクリアビューパックのメーカーOPだけを選択した、
当時の売れ筋モデルだ。
クリアビューパックとは、
LEDリヤフォグランプとフロントワイパーディアイサー、
それにヒーテッドドアミラーを組み合わせたセットオプションを指す。
SI-DRIVEの前身にあたる、
Info-ECOモードを持つので、
実燃費は比較的良好だ。
メーターをリセットすると、
マルチインフォメーションの平均燃費もリセットされた。
室内はとても綺麗で、
12年前のクルマには思えない。
運転席は8wayのパワーシート装備する。
助手席は前後とリクライニングだけで、
無闇な重量増加を防いでいる。
後席もすこぶる清潔さだ。
この時代のレガシィは、
センターコンソールにシャッターを持っていた。
スマートフォンだけなら蓋の上に置ける。
これは使い易いので、
後になってWRXに流用された。
飲み物を固定するリップを外し、
運転中に使う小物を入れることもできる。
飲み物を置かない時は、
財布などをすっぽり収めたり、
使い方の工夫次第で幾重にも活用できる。
さあ、準備は整った。
アクセルをグッと踏み込んでランプウエイを駆け上った。
ここでこのクルマの諸元を確認する。
【車名】
SUBARU LEGACY 2.0GT
【駆動方式】
AWD(全輪駆動)
【型式】
BP5C5DB QGH
ビッグマイナーチェンジ前のCタイプは、
まだ6気筒エンジン搭載車しか6速マニュアルを選択できなかった。
なので商品力が後期型に比べ劣るのか。
いや、それは違う。
これが歴史上の悪戯というものだ。
様々な面白い事実を、
その時代のクルマたちは隠し持つ。
並行リンク式のTY75型トランスミッションは、
高出力対応のTY85に対してかなり軽い。
その上、
後期型は様々なアメニティが加わり、
最終的に1.5トンを超えてしまった。
だからこのBP5は相対的に凄く軽い。
高速道路でスロットルを全開にした瞬間、
GC8の身軽な走りを思い出した。
同年代のGDBやGDAとはまた異なる、
実に素直でフレッシュな味だ。
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4680×1730×1470
ホイールベース(mm):2670
トレッド前/後(mm):1495/1485
最低地上高(㎜):155
ホイールベースに注目して欲しい。
最新のXVや次期フォレスターも全く同じ2670mmだ。
いわゆるスバルにとって、
実に使い慣れたホイールベースだ。
だからこのBP5の挙動は、
SUBARUを扱い慣れたドライバーにとって、
とても心地良いはずだ。
車両重量(kg):1430
最小回転半径(m):5.4
乗車定員 5名
GC8ほど軽くは無いが、
ツインスクロールのチタンターボが、
重量増加を完全に出力特性で補った。
【エンジン】
EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブ デュアルAVCS ツインスクロールターボ
内径×行程(mm):92.0×75.0
圧縮比:9.5
最高出力kW(PS):206(280)/6400rpm
最大トルクN・m(kgf・m):343(35.0)/2400rpm
【燃料供給装置】
EGI
【変速機】
5速マニュアルトランスミッション
【ステアリングギヤ比】
15.0:1
このステアリングギヤ比にも注目だ。
GC8以降のSTIが持つステアリングギヤ比と同じだ。
流石にRAの13:1ほど過激では無いけれど、
そのクイックな効果は凄く出ている。
峠道で抜群なんだ。
スッと僅かにハンドルを押すだけで、
峠道のスムーズに鼻先を変える。
操舵応答性が抜群な理由の一つに、
倒立式のビルシュタインダンパーを装備していることも上げられる。
当時の「面白いクルマを作ろう」と胸に刻んでいた、
開発チームの姿が容易に浮かんだ。
後々GRBの開発に携わった森PGMも、
VABの開発に携わった高津PGMも、
4代目レガシィ開発の中核を担っている。
お二人ともSTIで活躍中だから、
今後のSTIがリリースするクルマの、
これはルーツと言っても良い。
何しろ軽さは性能だ。
その重要性はXVでも顕著だ。
既述したように、
XVも同じ2670mmのホイールベースだ。
車体重量はこのBP5より更に20kg軽い1410kgだから、
走りのツボを押さえると物凄くスポーティに操れるのだ。
レガシィに話を戻す。
【燃費】
13.0km/l (10・15モード)
【標準装備】
HIDプロジェクターロービーム
215/45R17タイヤ
大径ツインマフラー
ビルシュタインダンパー
アルミ鍛造製フロントロワアーム
アルミ製リヤアーム&アッパーリンク
【税抜車両本体価格】
2.880.000円(メーカーオプションレス車)
この当時もパールホワイトは3万円高かった。
高速道路をしばらく流した。
GWが終わり遂に対面通行が始まった。
中央自動車道で最も危険な場所なので、
漫然と走らないよう注意して欲しい。
対向するトラックが、
いつ飛び込んでくるか解らない。
予測して中央線を幅広く取っているので、
戦闘態勢を維持して運転して欲しい。
中間地点に着いたので、
クルマを停めて各部を点検した。
タイヤはまだ使えるが年季も入っている。
クルマ購入と同時にMC6を選ぶと良いだろう。
更にライントレース性能が高まり、
その優れた操舵応答性に痺れるはずだ。
このような峠のワインディングで、
車体重量が1.5トンを超えるのか、
それとも下回るのか、
その差は走りの上で実に大きな差を生む。
これから発売されるクルマには、
新しい時代に求められる、
様々なハードルを飛ぶことが要求される。
その上で日本人の嗜好に合わせた商品開発が進む。
正直にはっきり言おう。
一般的な日本人のドライブスキルでは、
クルマの正確な味を綿密に知ることは出来ない。
だからクルマが重かろうと軽かろうと、
普通の人には差が良く解らないだろう。
だからそれまでより扱い易くなっていさえすれば、
ほとんど誰からも文句は出ないはずだ。
しかしその差が解る者に対しては、
重量増加は難敵になるだろう。
例えば、
フォレスターハイブリッドを見ると、
過去も含め国内にあるスバル車の中で、
かなり重いクルマの部類に入る。
その領域に足を踏み入れたクルマはほとんどないはずだ。
例えば重いと言われるSVXの最終モデルでも、
その車体重量は1590kgと、
1.6トンを切っていた。
国際的にトップクラスの性能を目指し、
高出力な6気筒エンジンを搭載するために、
強度と剛性の双方を極めた結果の車両重量だ。
今の時代はそれに加え、
電池とモーターまで持つ必要がある。
新型フォレスターのガソリンエンジン搭載車は、
1520kgなので「微増」の範疇だろう。
それがハイブリッドになると、
一気に100kg重い1620kgになる。
今後は軽いクルマを益々作れなくなる。
安全性能も要求されるし、
重く作って燃費を良くしないと税制面でも不利だ。
だから面白い。
こうして隠れた名車をクローズアップできる、
平成の時代に作られたSUBARUなら、
それに対する技術と情報さえあれば何も心配は無い。
この2.0GTの様に隠れた名車が、
まだザクザクと眠っている。
それに経験ある技術者が一手間加えると、
大量生産される新車には出せない味が作れる。
最近の豆腐は工場で大量生産される。
でも全て大量生産かと言うと、
決してそうではない。
確かにスーパーで売られる豆腐より高いが、
凄く美味しい豆腐がある。
例えばこの豆腐になぜ惹かれるのか。
まず良い豆腐作りと切っても切れない環境がある。
この追域で一番寒い土地柄だが、
そこで午前2時から仕込むと、
真似のできない上等な豆腐が生まれる。
ここには、
大量生産される味とは違う何かがある。
SUBARUは前を向いてクルマを作ればよい。
その結果は後からついてくる。
あれだけ峠道で踏み込んだのに、
燃費は二ケタを記録した。
このエンジンも制御が単純なんだ。
だから面白いのかもしれない。
17インチで充分動力性能とバランスが取れている。
ブレーキ性能もブレンボを要求するほど低くない。
むしろレースに使うわけでは無いから、
軽量化を考えるとこの方が良い。
エンジンはとても快調で、
まだまだ衰える様子を見せない。
最近の傾向を考えると、
MTの消滅やマルチシリンダーの廃止は止むを得ないと悟った。
でも大丈夫。
20年前には想像できなかった。
これほどあの頃のクルマが長持ちすると、
全く予想だにしなかった。
このクルマでさえ、
まだ12年しか経過していない。
クルマとの付き合い方は様々だ。
スバリストの将来は明るい。
なぜかって。
中古車があるからさ。
イメージリーダーを導入した。
コンセプトカーのエッセンスを注ぎながら、
ブランドステータスを損なわずに作り込むという、
二極それぞれをバランスさせていた。
写真を撮ることは許されなかったが、
アドバンスのブラックインテリアをじっくり見た。
いよいよスペックの公表が解禁され、
プレカタログが配布され、
参考価格も明らかになった。
導入を決めた試乗車候補は、
X-BREAKのパールホワイトで、
パワーリヤゲートを持つクルマだ。
これを導入する理由は、
まず第一に若々しさを持つからだ。
恐らく若い女性も中心に加わり、
コーディネートされたはずだ。
いくらおっさんがオレンジが嫌だと言っても、
娘たちの世代は「良いじゃない」と言う。
だから素直に表紙を飾るクルマを選んだ。
試乗車にX-BREAKを選ぶのは初めてだ。
あまり注目してなかったが、
今度のクルマはなかなか意欲的だ。
専用の撥水ファブリックでオレンジステッチを持つ。
でもSUBARUよ、
もし実物を見て気に入らなかったら、
覚悟して欲しい。
STIのtSで、
あれほど気持ちが悪いと言ったのに、
まだやると言う事は相当な自信があるからだろう。
あの時にこのプロジェクトが既に動いていて、
止めようがなかったなどと、
おかしな言い訳は絶対に聞きたくない。
実物を見るのが楽しみだ。
シートの写真を見ると、
どうもXVの導入でも検討されたのではないか、
そう思えるほどオレンジの外装色を意識している。
X-BREAKは元々スポカジ路線をより強調したものだ。
それは今度も変わりない。
車種選択に当たり、
Sリミテッドの置き換えに当たるプレミアムと詳細に比べた。
するとオレンジの差し色が嫌でたまらないが、
装備を見ると実に的を得ていて、
価格的にもお買い得だった。
プレミアムの中心グレードは291万円で、
パワーリヤゲートを付けると5万円高の296万円だ。
オプション構成に差があるし、
タイヤ系も18インチと大きい。
そこでX-BREAKを詳しく見た。
ツーリングベースであることは共通だが、
オールシーズンタイヤを履く。
それにLEDランプを多用した、
ラギットなカーゴルームは、
これまで以上に刺激的かつ実用的だ。
こちらにパワーリヤゲートを装備し、
パールホワイトを選ぶと、
ベース価格から八万円高くなる。
それでも車両価格は税別288万円とプレミアムより8万円安い。
一つ色で安心しているのは、
今回の差し色を「オレンジ」ではなく、
「レッドオレンジ」と呼んでいることだ。
アウトバックの特別仕様車、
X-ADVANCEを覚えているだろうか。
あのクルマの差し色は「イエローグリーン」だった。
単純なグリーンではなく、
透明感のある爽やかな色だ。
レッドオレンジをまだ見た事無いけれど、
SUBARUのカラーチームの事だから、
センス良くまとめた可能性が高い。
と言う訳で最終的に「X-BREAK」に落ち着いた。
出張から戻っても、
一向にのんびりできない。
それどころか、
次のテストが待ち構えていた。
そこで偶然にも面白い事実を知る事になった。
新たにレパートリーに加わった、
平成18年のツーリングワゴンだ。
オブシディアンブラック・パールの外装が素敵だ。
2.0GTで、
センターデフ式AWD5速マニュアルを持つ、
実にアグレッシブなクルマだ。
このミッションと組み合わされた、
4カムの水平対向ツインスクロールチタンターボエンジンは、
6400回転で280馬力を発揮する。
そして1800回転の領域で最大過給圧に達し、
35kg・mの最大トルクを2400回転という低い所から発生する。
このレガシィは前のモデルに比べ100㎏の軽量化と、
最高の安全性能を引っ提げて誕生した。
このテストで感じた事を伝えたい。
ステアリングホイールと同じように、
少しやれた感じがする。
やはり本革巻だと、
使い込み感が現れるが、
それは年式に程良くマッチした「味」だ。
クリーンフィルター付フルオートエアコンをセンターパネルに搭載。
灰皿が時代背景を感じさせる。
トリップメーターをリセットし、
運転席8WEYパワーシートを調節してベストポジションを得た。
このクルマはベースグレードのすぐ上で、
HIDプロジェクターロービームとクリアビューパックのメーカーOPだけを選択した、
当時の売れ筋モデルだ。
クリアビューパックとは、
LEDリヤフォグランプとフロントワイパーディアイサー、
それにヒーテッドドアミラーを組み合わせたセットオプションを指す。
SI-DRIVEの前身にあたる、
Info-ECOモードを持つので、
実燃費は比較的良好だ。
マルチインフォメーションの平均燃費もリセットされた。
室内はとても綺麗で、
12年前のクルマには思えない。
助手席は前後とリクライニングだけで、
無闇な重量増加を防いでいる。
この時代のレガシィは、
センターコンソールにシャッターを持っていた。
これは使い易いので、
後になってWRXに流用された。
運転中に使う小物を入れることもできる。
財布などをすっぽり収めたり、
使い方の工夫次第で幾重にも活用できる。
アクセルをグッと踏み込んでランプウエイを駆け上った。
【車名】
SUBARU LEGACY 2.0GT
【駆動方式】
AWD(全輪駆動)
【型式】
BP5C5DB QGH
ビッグマイナーチェンジ前のCタイプは、
まだ6気筒エンジン搭載車しか6速マニュアルを選択できなかった。
なので商品力が後期型に比べ劣るのか。
いや、それは違う。
これが歴史上の悪戯というものだ。
様々な面白い事実を、
その時代のクルマたちは隠し持つ。
並行リンク式のTY75型トランスミッションは、
高出力対応のTY85に対してかなり軽い。
その上、
後期型は様々なアメニティが加わり、
最終的に1.5トンを超えてしまった。
だからこのBP5は相対的に凄く軽い。
高速道路でスロットルを全開にした瞬間、
GC8の身軽な走りを思い出した。
同年代のGDBやGDAとはまた異なる、
実に素直でフレッシュな味だ。
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4680×1730×1470
ホイールベース(mm):2670
トレッド前/後(mm):1495/1485
最低地上高(㎜):155
ホイールベースに注目して欲しい。
最新のXVや次期フォレスターも全く同じ2670mmだ。
いわゆるスバルにとって、
実に使い慣れたホイールベースだ。
だからこのBP5の挙動は、
SUBARUを扱い慣れたドライバーにとって、
とても心地良いはずだ。
車両重量(kg):1430
最小回転半径(m):5.4
乗車定員 5名
GC8ほど軽くは無いが、
ツインスクロールのチタンターボが、
重量増加を完全に出力特性で補った。
【エンジン】
EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブ デュアルAVCS ツインスクロールターボ
内径×行程(mm):92.0×75.0
圧縮比:9.5
最高出力kW(PS):206(280)/6400rpm
最大トルクN・m(kgf・m):343(35.0)/2400rpm
【燃料供給装置】
EGI
【変速機】
5速マニュアルトランスミッション
【ステアリングギヤ比】
15.0:1
このステアリングギヤ比にも注目だ。
GC8以降のSTIが持つステアリングギヤ比と同じだ。
流石にRAの13:1ほど過激では無いけれど、
そのクイックな効果は凄く出ている。
峠道で抜群なんだ。
スッと僅かにハンドルを押すだけで、
峠道のスムーズに鼻先を変える。
操舵応答性が抜群な理由の一つに、
倒立式のビルシュタインダンパーを装備していることも上げられる。
当時の「面白いクルマを作ろう」と胸に刻んでいた、
開発チームの姿が容易に浮かんだ。
後々GRBの開発に携わった森PGMも、
VABの開発に携わった高津PGMも、
4代目レガシィ開発の中核を担っている。
お二人ともSTIで活躍中だから、
今後のSTIがリリースするクルマの、
これはルーツと言っても良い。
何しろ軽さは性能だ。
その重要性はXVでも顕著だ。
既述したように、
XVも同じ2670mmのホイールベースだ。
車体重量はこのBP5より更に20kg軽い1410kgだから、
走りのツボを押さえると物凄くスポーティに操れるのだ。
レガシィに話を戻す。
【燃費】
13.0km/l (10・15モード)
【標準装備】
HIDプロジェクターロービーム
215/45R17タイヤ
大径ツインマフラー
ビルシュタインダンパー
アルミ鍛造製フロントロワアーム
アルミ製リヤアーム&アッパーリンク
【税抜車両本体価格】
2.880.000円(メーカーオプションレス車)
この当時もパールホワイトは3万円高かった。
高速道路をしばらく流した。
中央自動車道で最も危険な場所なので、
漫然と走らないよう注意して欲しい。
対向するトラックが、
いつ飛び込んでくるか解らない。
予測して中央線を幅広く取っているので、
戦闘態勢を維持して運転して欲しい。
中間地点に着いたので、
クルマを停めて各部を点検した。
クルマ購入と同時にMC6を選ぶと良いだろう。
更にライントレース性能が高まり、
その優れた操舵応答性に痺れるはずだ。
このような峠のワインディングで、
車体重量が1.5トンを超えるのか、
それとも下回るのか、
その差は走りの上で実に大きな差を生む。
これから発売されるクルマには、
新しい時代に求められる、
様々なハードルを飛ぶことが要求される。
その上で日本人の嗜好に合わせた商品開発が進む。
正直にはっきり言おう。
一般的な日本人のドライブスキルでは、
クルマの正確な味を綿密に知ることは出来ない。
だからクルマが重かろうと軽かろうと、
普通の人には差が良く解らないだろう。
だからそれまでより扱い易くなっていさえすれば、
ほとんど誰からも文句は出ないはずだ。
しかしその差が解る者に対しては、
重量増加は難敵になるだろう。
例えば、
フォレスターハイブリッドを見ると、
過去も含め国内にあるスバル車の中で、
かなり重いクルマの部類に入る。
その領域に足を踏み入れたクルマはほとんどないはずだ。
例えば重いと言われるSVXの最終モデルでも、
その車体重量は1590kgと、
1.6トンを切っていた。
国際的にトップクラスの性能を目指し、
高出力な6気筒エンジンを搭載するために、
強度と剛性の双方を極めた結果の車両重量だ。
今の時代はそれに加え、
電池とモーターまで持つ必要がある。
新型フォレスターのガソリンエンジン搭載車は、
1520kgなので「微増」の範疇だろう。
それがハイブリッドになると、
一気に100kg重い1620kgになる。
今後は軽いクルマを益々作れなくなる。
安全性能も要求されるし、
重く作って燃費を良くしないと税制面でも不利だ。
だから面白い。
こうして隠れた名車をクローズアップできる、
平成の時代に作られたSUBARUなら、
それに対する技術と情報さえあれば何も心配は無い。
この2.0GTの様に隠れた名車が、
まだザクザクと眠っている。
それに経験ある技術者が一手間加えると、
大量生産される新車には出せない味が作れる。
最近の豆腐は工場で大量生産される。
でも全て大量生産かと言うと、
決してそうではない。
確かにスーパーで売られる豆腐より高いが、
凄く美味しい豆腐がある。
まず良い豆腐作りと切っても切れない環境がある。
この追域で一番寒い土地柄だが、
そこで午前2時から仕込むと、
真似のできない上等な豆腐が生まれる。
大量生産される味とは違う何かがある。
あれだけ峠道で踏み込んだのに、
このエンジンも制御が単純なんだ。
だから面白いのかもしれない。
ブレーキ性能もブレンボを要求するほど低くない。
むしろレースに使うわけでは無いから、
軽量化を考えるとこの方が良い。
まだまだ衰える様子を見せない。
最近の傾向を考えると、
MTの消滅やマルチシリンダーの廃止は止むを得ないと悟った。
でも大丈夫。
20年前には想像できなかった。
これほどあの頃のクルマが長持ちすると、
全く予想だにしなかった。
このクルマでさえ、
まだ12年しか経過していない。
クルマとの付き合い方は様々だ。
スバリストの将来は明るい。
なぜかって。
中古車があるからさ。