思うところがあり「嗜好性」をテーマに考えを温めていた。そんな時に、レッドブルの美女が現れた。「両手に花」を味わうのは久しぶりだった。
飲めという。
しかもすぐ飲めという。
缶のリップルまで白魚のような指で引き起こしてくれた。
飲むしかない。
危険を感じたのか、
向かって右側の女性が後ずさりしている。
言いようのない何かを感じたのだろう。
口を付けた瞬間、
そのオンナは逃げた。
逃げ遅れた彼女がその後どうなったかは、
想像にお任せしたい。
葡萄味はなかなか美味しくて、
満たされた燃料が爆発した。
ミニの背中に装着された缶が、
まるで己の欲望を象徴しているかのようだ。
めざとい妻が、
「ワタシも興奮したい」と駆け寄ってきた。
飲めば変身できると勘違いしているようだ。
一気に飲み干した。
鋭いパワーを蓄えたようだ。
その翌朝「脚四の字固め」を掛けられ、
布団の中で悶絶した。
あの足首の無い逞しい脚で、
左足を強烈に痛めつけられた。
すやすや寝てる様子を見て、
ちょっかい出したら怒りをかったのだ。
しかもその日は工房の清掃日だった。
水を撒いて床を洗っている最中に、
ツルリと滑って仰向けにひっくり返った。
危ないところだったが、
「翼を授かった」のだろう。
上手にペタンと背中から接地し、
一切怪我をしなかった。
レッドブルのような嗜好性を持つ商品は、
キャンペーンを組んで味わわせることが大切だ。
試飲はしたものの、
この商品に嗜好性を感じなかった。
確かに元気になるのだろうが、
栄養飲料に嗜好性を感じたことが無い。
それは理屈が曖昧だからだ。
この日は三菱電機中津川製作所における、
合同展示会開催日だった。
同時に菱和の二人組が商品説明に来ていた。
最新のダイヤトーンナビをセットしているのに、
デモカーが思いっきりショボイ。
ガンガンと大音響をながしているが、
似つかわしくないこと甚だしい。
「何をやっとるんだ!」
レッドブルのせいだ。
彼の上司でもないのに、
勢いに任せて説経じみてきた。
「二宮君に東京で会ったけど」
「・・・・聞いています」
二人組のウチの一人は、
既に戦力喪失で一言も喋ろうとしない。
「こんなクルマでは売れるモノも売れんぞ!!」
図々しくも他人様のクルマに勝手に乗り込み、言いたい放題だった。そして、「一体どこがどう良くなってこんなに奇麗なったんだ、あーん?」と、まるで酔っ払いの親父のように絡み始めた。
挙げ句の果てに、「こっちへ来なさい!!!」と無理矢理スバルの所へ連れ込んだ。 この日は上手い具合にSUV三兄弟を展示していた。
既に紹介したように、
アウトバックには三菱のダイヤトーンナビが装着されている。
「見ろ!どうだ三菱だぞ。何とか言ってみろ」と恫喝すると、
「えへへへ、やっぱり良いですよね、ダイヤトーンは」と、
まるで力なく言葉を合わせた。
もう顔はこわばり笑顔も引きつっている。
とにかくレッドブルを飲んだので勢いが良い。
勢い余って、
「じゃあXVに乗れ!これが何か解るか、おい」と、
また恫喝してしまった。
「ひえ!なんすか、これ?」
「これがパナのスバル専用じゅんせいビルトインナビだ、恐れ入ったか!」と、
胸を張ると、
彼は怯まずに自分を取り戻した。
「もう一度我が社のスバルじゅんせいナビを見て下さい!」
「確かに操作系は専用に型を起こした松下さんに負けますが、
画面の美しさは抜群です」
確かにそれは言える。
指を指している部分を、
上のパナソニックと比べれば一目瞭然だ。
まるでiPadを埋め込んだかのように画像が鮮明に映る。
特にテレビ画面が抜群に奇麗だ。
オマケにバックモニターの画像まで鮮明だ。
しかもスクロールする時にフリックできるし、
縮小拡大も親指と人差し指で簡単にできる。
スマートフォンに慣れた人には扱いやすい。
東京へ出張した際に、
ルート検索の確かさや、
システム立ち上げの速さも体験している。
スクロールの反応も良く、
過敏すぎないので全体的に使い勝ってが良い。
「ふーん、確かに」ときびすを返すと、
「それじゃあ、もう一度XVに乗りましょう」と、
本来の余裕を取り戻したようだった。
パナソニックのビルトインナビも、
偏光グラスを着用した時に視認性を悪化させないことが、
この前のXVテストで解った。
しかし左側に外の光が反射している。
ライン装着品はもっと見難い。
B4に乗った時ラインオプションのナビゲーションは、
偏光グラスを掛けると見えなくなってしまった。
その点、
この二つの製品はどちらも良い線行っている。
ダイヤトーンナビの長所を抜群の視認性や素早い立ち上がりとするなら、
パナソニックナビの長所は操作性の良さや装着した時の見栄えだろう。
外にも最近はケンウッドに彩速ナビが登場し、
各社の性能はきっ抗している。
ある製品を選ぼうとした時、
顧客の「嗜好性」は最も重要な動機の要素だ。
スバルが複数の銘柄を純正指定する理由は、
顧客の嗜好性を重視するからだ。
「ナビは誰が何と言ってもカロッツェリアだ」という人も居る。
純正指定から外れてしまったが、
クラリオンが良いという人も居るだろう。
そういう様々な嗜好性に対して、
スバルのセールスなら何をすべきか。
それは正しい情報の提供だ。
顧客もそれを求めている。
なぜなら「嗜好性」は「普遍的」なものでは無いからだ。
顧客は自らの嗜好性を全く信用しているわけでは無い。
常にそれが正しいか自問しながら、
新しい何かを求め彷徨っている。
だから正しい商品知識と体験談は、
顧客の嗜好性を一変させる。
三菱の開発担当者でも知らないことは沢山ある。
東京で会った二宮さんに、
様々な質問をぶつけて困らせた。
一つはブルートゥースの認識について。
どうしてもデモ機では上手くいかなかった。
もう一つはナビの記憶媒体だ。
古くはCDを使った時代から、
DVD、HDDと進歩を続けた。
最上級モデルにはハードディスクを用いるのが世の流れだったが、
だんだんとメモリーナビに移行してきた。
その事に対して知らないことが多いので、
二宮さんにダイヤトーンナビはどんな記憶媒体を使っているのか尋ねた。
それを彼は丁寧に調べ、
東京からわざわざ電話で報告してくれた。
「ダイヤトーンサウンドナビはメモリーナビです。
フラッシュメモリーの形式がSSDからEMMCに代わりました」
こんなに詳しいことを教えてもらえるとは思わなかったので、
彼にもう一歩突っ込んだ。
「それでSSDとは何でEMMCになるとどんなメリットがあるの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
困っているようだったのでそれ以上聞くのは止めた。
自分で簡単に調べてみると、
これまで知らなかったことが沢山解ってきた。
社員にいつも伝えていることは「無知の知」だ。
年齢を重ねるほど狡猾になる。
「知らないことを知っているように思い込むな」と
年齢が上の社員ほど言い聞かせている。
だが物事を深掘りする事に嗜好性を持つ者と、
そうで無い者の差がどうしても生まれる。
悪気が有るわけでは無いが、
お客様に甘える。
するとそれは「知らないこと」を「知っているように振る舞う」行為に繋がる。
これだけは許せない。
そもそもフラッシュメモリーは、
日本人が成し遂げた重要な発明だ。
東芝で桝岡さんという人が開発したそうだ。
電界効果トランジスタで衝突電離を使ってデータを記録する。
これらの名称は初耳だった。
フラッシュメモリーは電源を切っても記録が消えないので、
不揮発性メモリーとも言う。
記録もパッと一瞬で消せる.
daで、
写真機のフラッシュから名前を引用したらしい。
そう言えば思い出した。
メモリーは財布で、ハードディスクは銀行。
素早く出し入れできるが、
容量少なく、
出し入れ面倒だが容量大きい。
面白いなあ。
スバルの得意分野である、
リチウムイオン電池とリチウムイオンキャパシタの関係にも似ている。
解り易く言えば、
お金を出し入れしやすい財布が、
だんだんと銀行に行かなくても良いほどお金を蓄えられるようになった訳だ。
HDDに代わる能力を、
SSDと呼ばれるフラッシュメモリーから持ち始めた。
それをEMMCに置き換えたのだという。
調べてみるとマルチメディアカードのことだった。
正確にはEは小文字でeMMCと言い、
カードの状態では無くMMCの機能をICパッケージにまとめたモノだった。
それら基軸部分の変更は、
CPUそのものの大幅な性能向上にも現れている。
これまでのシングル(1)コアCPUを、
桁違いの情報処理能力を持つクアッド(4)コアCPUに載せ替えた。
しかもeMMCは今年の5月から最新バージョンがリリースされている。
ルート検索速度は従来に比べ4.8倍。
スマホライクな画面は地図スクロール速度2.5倍。
画面切り替え速度3.9倍。
選曲スピードは24.3倍。
最初に見た瞬間に優れていると思った訳は、
ピュアブラックハイコントラストモニターにあった。
液晶面とタッチパネル間に、
これまでは空気層が存在した。
それが乱反射を生み見難さに繋がった。
三菱はその二つを接合する技術を磨いた。
それがいわゆるボンディング技術の向上だ。
タッチパネルそのものに含まれる空気は勿論、
液晶面の間にあるエアギャップをボンディング剤で奇麗に埋めた。
その上ARマルチコート・グレア表面処理を施したことで、
何と従来比52倍という桁外れなコントラスト比を実現している。
三菱グループの中核を成す三菱電機が、
本気で製品開発するとどうなるか。
それは言うまでもないだろう。
こうした三菱独自の新製品に対して、
嗜好性が急激に向いた。
セールスは本来顧客の質問に対し、
明確な回答を返す事を仕事としている。
「おもてなし」はその周りに着いている饅頭の皮だ。
これほど新しい商品が出るのに、
言われないと勉強せず顧客に甘える人が多い。
だからスバルは熱心に教育を続けて居るが、
全てのセールスを同じレベルまで引き上げることは難しい。
売るため、
使うため、
更に活用するために正しい情報を学ぶ。
それがまず一番大切な仕事だともう一度肝に銘じて欲しい。
そんなことは二の次で良いから、
もっとサービスしろ、と言われる方も居るだろう。
だから、そこが「嗜好性」なのだ。
一連の出来事からダイヤトーンサウンドナビは、
最も嗜好性に合うナビだと実感した。
だから今のところ最も付けたいナビだ。
これは食べてみて美味いと感じた食品と同じだ。
昼休みの合同展示会が終わり、
昼飯を食べる場所を探した。
最近、蕎麦が続いていたので、
何年かぶりにラーメン屋に行くことにした。
一度も入ったことは無いが、
以前から気になる店がある。
周りの店舗がドンドン空き家になりながらも、
がんばって営業を続けている。
長い営業年数を誇るし、
夜になれば煌々と灯りを灯すので悪い店のはずが無い。
この日も営業中の札は出ているが、
人の気配が無いし店内に灯りも点いていなかった。
ソロリと扉を開けては居ると、
中でひと組の夫婦がラーメンの出来上がりを待っていた。
塩ラーメンを選んだ。
550円で大盛りは100円加算だ。
それを注文して、
はたと気がついた。
ラーメンライスを長い間食べていない。
小ライスは100円なので同額で白飯まで食べられる。
喉がゴクリと鳴った。
しばらく米も食べていなかった。
麺はもっちりして、
あんばいの良い太さだ。
スープの出汁も良い。
奇麗に完食した。
美味しかった。
食べ始めた頃、
タイヤセールスらしき男性が店に入ってきた。
ランチもあるようだ。
醤油ラーメンを選べばこれより100円高いだけで、
ご飯とでかい唐揚げが付く。
揚げ物はどうしても敬遠してしまうので、
この組合せで正解だった。
隣のコンビニのナオちゃんに、
「どうだった」と聞かれたので素直に「美味しかった」と言った。
「じゃあ食べに行こう」とニコニコしていた。
娘にも「どうだった」と聞かれた。
「美味しかった」と言うと、
「じゃあ食べに行こう」と言った。
美味しいから是非食べに行って欲しい。
しかし親しい人をわざわざ連れて食べに行く気にはなれない。
これが嗜好性だろう。
蕎麦が多くなっている理由はこう言う事だ。
東京から友人が来たので蕎麦を食べに行った。
無類の麺好きなので、
極自然に3枚注文した。
その麺好きが夕食を抜かなくてはならぬほど腹一杯になった。中津川に美味い蕎麦屋は沢山あるが、美味くて喰った気にさせる店はここしかない。
その二日後に岐阜から友人が来た。先の店は日曜定休だ。
従って外の店を攻略するチャンスが来た。
最近美味しいと評判の蕎麦屋へ行った。丁度昼時でほぼ満席だった。
ここは何が美味しいのと尋ねると、「やはり新蕎麦ですからザルですね」と答えた。
そうか、「じゃあ三枚にするかな」というと、「えっ」と絶句している。
これはいけない。この店の流儀をまだ良く見てなかった。
お品書きにはざる1枚に盛られた蕎麦に1000円の値が付いている。下に大盛り300円とあった。
およよよよ、これはいかん。
大盛りにするとどれくらいなのかと考えていると、「あのう、3枚になさいますか」と聞かれたので、「大盛りにして下さい」とお願いした。
流石に昼飯の蕎麦に3000円は払えない。 出てきた大盛りの蕎麦に山葵を載せて素のまま食べた。
小鉢が二つ添えられ価格に文句は無い。
ただ理想を言えば蕎麦前はお茶と一緒に出す方が良い。
蕎麦にもコシがあり、
香りも甘みも申し分ないが、
この量では喰った気がしなかった。
先の店だと普通で2枚出てくる。
しかも量はここの大盛りより更に多い。
蕎麦通で、
基礎代謝が更に落ちた人なら、
この量でも多いだろう。
しかし今の体力ではとてもでは無いが物足りず、
嗜好性を全く感じない。
食べ終わるとその脚で友人と饅頭屋に行った。
饅頭一本で勝負する店を尊敬している。
昔の中津スバル本店はこの店の4軒隣りにあった。
だから子供の頃から、
朝は饅頭を蒸す匂いで始まった。
実に美味い饅頭だが日持ちがしない。
酒蒸し饅頭の独特の香りは、
鼻腔の奥までしみ通る。
4つ買って大の男がクルマの中でほおばった。
二つ目を食べようとしたら、
「ボクは嫁さんに一個持って帰ります」という。
何とエライヤツだろう。
見習って食べるのを我慢し、
妻の机に置いておいた。
この饅頭は嗜好性の塊だ。
誰が何と言おうと美味いモノは美味い。
その友人はせっかく中津川に来たから、
美味いモノを買って帰りたいと言った。
そうなるとこれしか無い。
普通の人なら栗きんとんを選ぶだろうが、
11月の中津川にはもっと美味いモノがある。
親しい人に食べさせるなら、
このお菓子が一番だ。
値段は高い。
一個だけで板チョコ三枚買える金額だ。
お茶にぴったりで、
何とも美しいオレンジ色をしている。
発明したのは別の店だが、
この店が日本一の銘菓に育て上げた。
甘い物が苦手だと、尻尾を巻いて逃げ出すだろう。
とてつもなく甘い果糖が結晶した干し柿に、
甘い栗きんとんが詰め込まれている。
まさに嗜好品そのものだ。
ジックリ考えると、
やはりこの蕎麦が嗜好性の頂点に立つ。
決して顧客に甘えず我が道を行く。
開田にある顧客に媚びない蕎麦は、
ガツンとした香りと、
微かな苦みを含む甘さが特徴だ。
何も付けずに食べれば解るだろう。
「すんき」を混ぜた煮汁に浸し、
すくい上げて食べると豊潤な味覚が喉を潤す。
「それじゃあ塩分摂りすぎよ」と叱られようと、
鍋の汁まで完食させるほど魅力がある。
それをスバリストと喰らうのが又楽し。
だからDEのCプランで欠かせない大切な要素だ。
嗜好性は突き詰めれば突き詰めるほど奥が深い。
芸術もそうだ。
素晴らしいモノは素晴らしい。
ただ強要は困る。
蕎麦アレルギーに蕎麦を食べさせたら大変だ。
だから蕎麦屋へ安易に連れて行かない。
いくら芸術性があっても、
嗜好性の無い絵画を見るのは苦痛に他ならない。
それを強制的に長時間見せるのは酷だ。
渋滞路でラッピングバスの後ろを走り続け、
不快になったのは描かれた絵画が気持ち悪かったからだ。
仲間さんに教えて戴き、
ラッピングの出自が理解出来た。
ドットをちりばめた中に、
作者がカモフラージュを纏っている姿を見た。
申し訳ないが、吐きそうになった。
ドットを規則正しくちりばめると、
目が回るような錯覚を覚える。
以前ゴッホの自画像に狂気を感じた。
これらを近くで見せつけられ運転し続けたら、
同じように気持ちが悪くなるだろう。
同じゴッホでも、
これなら嫌な気分など全くならない。
静物画には心を沈静化させる効果がある。
こちらに嗜好性を感じる。
クルマにも嗜好性がある。
現在の主流はSUVだ。
クルマの大きさだけで無く、
形や用途で嗜好性は異なる。
スバルOUTBACKは最もカーゴルームが大きく、
荷台とカーゴステップに段差が無く積み降ろしも楽だ。
フォレスターの荷台は広くて腰高だ。腰高なのが積み降ろしに具合が良い。
だから嗜好性としては一番だ。
その点、XVだけが外と異なる。
カーゴステップが一段高い。
荷室容量を最大限に確保しようとした結果だが、
これが安全性に一役買う。
ドイツで大失敗した。
真っ暗な時間にアウトバックの荷台へスーツケースを積んだ。
急いでいたのでリヤゲートを綴じるスイッチを押して、
クルマに飛び乗りエンジン掛け走り始めた。
閉まりきらないうちに走り始めると、リヤゲートは動きを止める。
幸いにもスーツケースは自重でかろうじて残ったが、
せっかく買って一緒に載せたペットボトル飲料などを、
暗闇の中に撒き散らした。
NBR周辺は本当にどこも真っ暗だ。
とてもでは無いので、
探すことを諦めた。
荷台一つとってもこれだけ個性が異なる。
スバルのSUVなら、
幅広い嗜好性に他のメーカーより応えられる。
これらの要素を正確に分析し、
顧客に正しく伝えるのがセールスの仕事だ。
それを本気でやるためには相当な時間を要する。
生まれてこの方スバルなど見たことも無かった人など、
セールスになったらもっと大変だ。
今も知らなければならないし、
過去も知らなければならない。
だから一生懸命仕事に励む人ほど忙しい。
「甘えるな」に過剰反応した人がいらっしゃった。
だから最後にもう一度繰り返す。
甘えの構造を良く理解し、
セールスを勉強させて欲しい。
教養が無ければ接客方法も劣る。
人間力の絶対値を高めることが、
スバリストにとって最も大切な課題だ。
そして「どうしたら育つのか」、
甘えさせないよう正しく導いて戴きたい。
次はスキップしたままのXVだ。
この魅力を語りたい。
しかもすぐ飲めという。
缶のリップルまで白魚のような指で引き起こしてくれた。
飲むしかない。
危険を感じたのか、
向かって右側の女性が後ずさりしている。
言いようのない何かを感じたのだろう。
そのオンナは逃げた。
想像にお任せしたい。
満たされた燃料が爆発した。
まるで己の欲望を象徴しているかのようだ。
めざとい妻が、
「ワタシも興奮したい」と駆け寄ってきた。
鋭いパワーを蓄えたようだ。
その翌朝「脚四の字固め」を掛けられ、
布団の中で悶絶した。
あの足首の無い逞しい脚で、
左足を強烈に痛めつけられた。
すやすや寝てる様子を見て、
ちょっかい出したら怒りをかったのだ。
しかもその日は工房の清掃日だった。
水を撒いて床を洗っている最中に、
ツルリと滑って仰向けにひっくり返った。
危ないところだったが、
「翼を授かった」のだろう。
上手にペタンと背中から接地し、
一切怪我をしなかった。
レッドブルのような嗜好性を持つ商品は、
キャンペーンを組んで味わわせることが大切だ。
試飲はしたものの、
この商品に嗜好性を感じなかった。
確かに元気になるのだろうが、
栄養飲料に嗜好性を感じたことが無い。
それは理屈が曖昧だからだ。
この日は三菱電機中津川製作所における、
合同展示会開催日だった。
同時に菱和の二人組が商品説明に来ていた。
デモカーが思いっきりショボイ。
ガンガンと大音響をながしているが、
似つかわしくないこと甚だしい。
「何をやっとるんだ!」
レッドブルのせいだ。
彼の上司でもないのに、
勢いに任せて説経じみてきた。
「二宮君に東京で会ったけど」
「・・・・聞いています」
二人組のウチの一人は、
既に戦力喪失で一言も喋ろうとしない。
挙げ句の果てに、「こっちへ来なさい!!!」と無理矢理スバルの所へ連れ込んだ。
既に紹介したように、
アウトバックには三菱のダイヤトーンナビが装着されている。
「見ろ!どうだ三菱だぞ。何とか言ってみろ」と恫喝すると、
まるで力なく言葉を合わせた。
もう顔はこわばり笑顔も引きつっている。
勢い余って、
「じゃあXVに乗れ!これが何か解るか、おい」と、
また恫喝してしまった。
胸を張ると、
彼は怯まずに自分を取り戻した。
「もう一度我が社のスバルじゅんせいナビを見て下さい!」
「確かに操作系は専用に型を起こした松下さんに負けますが、
画面の美しさは抜群です」
指を指している部分を、
上のパナソニックと比べれば一目瞭然だ。
まるでiPadを埋め込んだかのように画像が鮮明に映る。
特にテレビ画面が抜群に奇麗だ。
オマケにバックモニターの画像まで鮮明だ。
しかもスクロールする時にフリックできるし、
縮小拡大も親指と人差し指で簡単にできる。
スマートフォンに慣れた人には扱いやすい。
東京へ出張した際に、
ルート検索の確かさや、
システム立ち上げの速さも体験している。
スクロールの反応も良く、
過敏すぎないので全体的に使い勝ってが良い。
「ふーん、確かに」ときびすを返すと、
「それじゃあ、もう一度XVに乗りましょう」と、
本来の余裕を取り戻したようだった。
偏光グラスを着用した時に視認性を悪化させないことが、
この前のXVテストで解った。
しかし左側に外の光が反射している。
ライン装着品はもっと見難い。
B4に乗った時ラインオプションのナビゲーションは、
偏光グラスを掛けると見えなくなってしまった。
その点、
この二つの製品はどちらも良い線行っている。
ダイヤトーンナビの長所を抜群の視認性や素早い立ち上がりとするなら、
パナソニックナビの長所は操作性の良さや装着した時の見栄えだろう。
外にも最近はケンウッドに彩速ナビが登場し、
各社の性能はきっ抗している。
ある製品を選ぼうとした時、
顧客の「嗜好性」は最も重要な動機の要素だ。
スバルが複数の銘柄を純正指定する理由は、
顧客の嗜好性を重視するからだ。
「ナビは誰が何と言ってもカロッツェリアだ」という人も居る。
純正指定から外れてしまったが、
クラリオンが良いという人も居るだろう。
そういう様々な嗜好性に対して、
スバルのセールスなら何をすべきか。
それは正しい情報の提供だ。
顧客もそれを求めている。
なぜなら「嗜好性」は「普遍的」なものでは無いからだ。
顧客は自らの嗜好性を全く信用しているわけでは無い。
常にそれが正しいか自問しながら、
新しい何かを求め彷徨っている。
だから正しい商品知識と体験談は、
顧客の嗜好性を一変させる。
三菱の開発担当者でも知らないことは沢山ある。
東京で会った二宮さんに、
様々な質問をぶつけて困らせた。
一つはブルートゥースの認識について。
どうしてもデモ機では上手くいかなかった。
もう一つはナビの記憶媒体だ。
古くはCDを使った時代から、
DVD、HDDと進歩を続けた。
最上級モデルにはハードディスクを用いるのが世の流れだったが、
だんだんとメモリーナビに移行してきた。
その事に対して知らないことが多いので、
二宮さんにダイヤトーンナビはどんな記憶媒体を使っているのか尋ねた。
それを彼は丁寧に調べ、
東京からわざわざ電話で報告してくれた。
「ダイヤトーンサウンドナビはメモリーナビです。
フラッシュメモリーの形式がSSDからEMMCに代わりました」
こんなに詳しいことを教えてもらえるとは思わなかったので、
彼にもう一歩突っ込んだ。
「それでSSDとは何でEMMCになるとどんなメリットがあるの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
困っているようだったのでそれ以上聞くのは止めた。
自分で簡単に調べてみると、
これまで知らなかったことが沢山解ってきた。
社員にいつも伝えていることは「無知の知」だ。
年齢を重ねるほど狡猾になる。
「知らないことを知っているように思い込むな」と
年齢が上の社員ほど言い聞かせている。
だが物事を深掘りする事に嗜好性を持つ者と、
そうで無い者の差がどうしても生まれる。
悪気が有るわけでは無いが、
お客様に甘える。
するとそれは「知らないこと」を「知っているように振る舞う」行為に繋がる。
これだけは許せない。
そもそもフラッシュメモリーは、
日本人が成し遂げた重要な発明だ。
東芝で桝岡さんという人が開発したそうだ。
電界効果トランジスタで衝突電離を使ってデータを記録する。
これらの名称は初耳だった。
フラッシュメモリーは電源を切っても記録が消えないので、
不揮発性メモリーとも言う。
記録もパッと一瞬で消せる.
daで、
写真機のフラッシュから名前を引用したらしい。
そう言えば思い出した。
メモリーは財布で、ハードディスクは銀行。
素早く出し入れできるが、
容量少なく、
出し入れ面倒だが容量大きい。
面白いなあ。
スバルの得意分野である、
リチウムイオン電池とリチウムイオンキャパシタの関係にも似ている。
解り易く言えば、
お金を出し入れしやすい財布が、
だんだんと銀行に行かなくても良いほどお金を蓄えられるようになった訳だ。
HDDに代わる能力を、
SSDと呼ばれるフラッシュメモリーから持ち始めた。
それをEMMCに置き換えたのだという。
調べてみるとマルチメディアカードのことだった。
正確にはEは小文字でeMMCと言い、
カードの状態では無くMMCの機能をICパッケージにまとめたモノだった。
それら基軸部分の変更は、
CPUそのものの大幅な性能向上にも現れている。
これまでのシングル(1)コアCPUを、
桁違いの情報処理能力を持つクアッド(4)コアCPUに載せ替えた。
しかもeMMCは今年の5月から最新バージョンがリリースされている。
ルート検索速度は従来に比べ4.8倍。
スマホライクな画面は地図スクロール速度2.5倍。
画面切り替え速度3.9倍。
選曲スピードは24.3倍。
最初に見た瞬間に優れていると思った訳は、
ピュアブラックハイコントラストモニターにあった。
液晶面とタッチパネル間に、
これまでは空気層が存在した。
それが乱反射を生み見難さに繋がった。
三菱はその二つを接合する技術を磨いた。
それがいわゆるボンディング技術の向上だ。
タッチパネルそのものに含まれる空気は勿論、
液晶面の間にあるエアギャップをボンディング剤で奇麗に埋めた。
その上ARマルチコート・グレア表面処理を施したことで、
何と従来比52倍という桁外れなコントラスト比を実現している。
三菱グループの中核を成す三菱電機が、
本気で製品開発するとどうなるか。
それは言うまでもないだろう。
こうした三菱独自の新製品に対して、
嗜好性が急激に向いた。
セールスは本来顧客の質問に対し、
明確な回答を返す事を仕事としている。
「おもてなし」はその周りに着いている饅頭の皮だ。
これほど新しい商品が出るのに、
言われないと勉強せず顧客に甘える人が多い。
だからスバルは熱心に教育を続けて居るが、
全てのセールスを同じレベルまで引き上げることは難しい。
売るため、
使うため、
更に活用するために正しい情報を学ぶ。
それがまず一番大切な仕事だともう一度肝に銘じて欲しい。
そんなことは二の次で良いから、
もっとサービスしろ、と言われる方も居るだろう。
だから、そこが「嗜好性」なのだ。
一連の出来事からダイヤトーンサウンドナビは、
最も嗜好性に合うナビだと実感した。
だから今のところ最も付けたいナビだ。
これは食べてみて美味いと感じた食品と同じだ。
昼休みの合同展示会が終わり、
昼飯を食べる場所を探した。
最近、蕎麦が続いていたので、
何年かぶりにラーメン屋に行くことにした。
以前から気になる店がある。
周りの店舗がドンドン空き家になりながらも、
がんばって営業を続けている。
長い営業年数を誇るし、
夜になれば煌々と灯りを灯すので悪い店のはずが無い。
この日も営業中の札は出ているが、
人の気配が無いし店内に灯りも点いていなかった。
ソロリと扉を開けては居ると、
中でひと組の夫婦がラーメンの出来上がりを待っていた。
塩ラーメンを選んだ。
550円で大盛りは100円加算だ。
それを注文して、
はたと気がついた。
ラーメンライスを長い間食べていない。
小ライスは100円なので同額で白飯まで食べられる。
喉がゴクリと鳴った。
しばらく米も食べていなかった。
あんばいの良い太さだ。
美味しかった。
食べ始めた頃、
タイヤセールスらしき男性が店に入ってきた。
ランチもあるようだ。
醤油ラーメンを選べばこれより100円高いだけで、
ご飯とでかい唐揚げが付く。
揚げ物はどうしても敬遠してしまうので、
この組合せで正解だった。
隣のコンビニのナオちゃんに、
「どうだった」と聞かれたので素直に「美味しかった」と言った。
「じゃあ食べに行こう」とニコニコしていた。
娘にも「どうだった」と聞かれた。
「美味しかった」と言うと、
「じゃあ食べに行こう」と言った。
美味しいから是非食べに行って欲しい。
しかし親しい人をわざわざ連れて食べに行く気にはなれない。
これが嗜好性だろう。
蕎麦が多くなっている理由はこう言う事だ。
東京から友人が来たので蕎麦を食べに行った。
無類の麺好きなので、
極自然に3枚注文した。
その二日後に岐阜から友人が来た。先の店は日曜定休だ。
従って外の店を攻略するチャンスが来た。
最近美味しいと評判の蕎麦屋へ行った。丁度昼時でほぼ満席だった。
ここは何が美味しいのと尋ねると、「やはり新蕎麦ですからザルですね」と答えた。
そうか、「じゃあ三枚にするかな」というと、「えっ」と絶句している。
これはいけない。この店の流儀をまだ良く見てなかった。
お品書きにはざる1枚に盛られた蕎麦に1000円の値が付いている。下に大盛り300円とあった。
およよよよ、これはいかん。
大盛りにするとどれくらいなのかと考えていると、「あのう、3枚になさいますか」と聞かれたので、「大盛りにして下さい」とお願いした。
流石に昼飯の蕎麦に3000円は払えない。
小鉢が二つ添えられ価格に文句は無い。
ただ理想を言えば蕎麦前はお茶と一緒に出す方が良い。
蕎麦にもコシがあり、
香りも甘みも申し分ないが、
この量では喰った気がしなかった。
先の店だと普通で2枚出てくる。
しかも量はここの大盛りより更に多い。
蕎麦通で、
基礎代謝が更に落ちた人なら、
この量でも多いだろう。
しかし今の体力ではとてもでは無いが物足りず、
嗜好性を全く感じない。
食べ終わるとその脚で友人と饅頭屋に行った。
昔の中津スバル本店はこの店の4軒隣りにあった。
だから子供の頃から、
朝は饅頭を蒸す匂いで始まった。
鼻腔の奥までしみ通る。
二つ目を食べようとしたら、
「ボクは嫁さんに一個持って帰ります」という。
何とエライヤツだろう。
見習って食べるのを我慢し、
妻の机に置いておいた。
この饅頭は嗜好性の塊だ。
誰が何と言おうと美味いモノは美味い。
その友人はせっかく中津川に来たから、
美味いモノを買って帰りたいと言った。
そうなるとこれしか無い。
普通の人なら栗きんとんを選ぶだろうが、
11月の中津川にはもっと美味いモノがある。
このお菓子が一番だ。
一個だけで板チョコ三枚買える金額だ。
何とも美しいオレンジ色をしている。
この店が日本一の銘菓に育て上げた。
とてつもなく甘い果糖が結晶した干し柿に、
甘い栗きんとんが詰め込まれている。
まさに嗜好品そのものだ。
ジックリ考えると、
やはりこの蕎麦が嗜好性の頂点に立つ。
開田にある顧客に媚びない蕎麦は、
ガツンとした香りと、
微かな苦みを含む甘さが特徴だ。
何も付けずに食べれば解るだろう。
すくい上げて食べると豊潤な味覚が喉を潤す。
「それじゃあ塩分摂りすぎよ」と叱られようと、
鍋の汁まで完食させるほど魅力がある。
それをスバリストと喰らうのが又楽し。
だからDEのCプランで欠かせない大切な要素だ。
嗜好性は突き詰めれば突き詰めるほど奥が深い。
芸術もそうだ。
素晴らしいモノは素晴らしい。
ただ強要は困る。
蕎麦アレルギーに蕎麦を食べさせたら大変だ。
だから蕎麦屋へ安易に連れて行かない。
いくら芸術性があっても、
嗜好性の無い絵画を見るのは苦痛に他ならない。
それを強制的に長時間見せるのは酷だ。
渋滞路でラッピングバスの後ろを走り続け、
不快になったのは描かれた絵画が気持ち悪かったからだ。
仲間さんに教えて戴き、
ラッピングの出自が理解出来た。
ドットをちりばめた中に、
作者がカモフラージュを纏っている姿を見た。
申し訳ないが、吐きそうになった。
ドットを規則正しくちりばめると、
目が回るような錯覚を覚える。
これらを近くで見せつけられ運転し続けたら、
同じように気持ちが悪くなるだろう。
同じゴッホでも、
これなら嫌な気分など全くならない。
静物画には心を沈静化させる効果がある。
こちらに嗜好性を感じる。
クルマにも嗜好性がある。
現在の主流はSUVだ。
クルマの大きさだけで無く、
形や用途で嗜好性は異なる。
スバルOUTBACKは最もカーゴルームが大きく、
荷台とカーゴステップに段差が無く積み降ろしも楽だ。
だから嗜好性としては一番だ。
カーゴステップが一段高い。
荷室容量を最大限に確保しようとした結果だが、
これが安全性に一役買う。
真っ暗な時間にアウトバックの荷台へスーツケースを積んだ。
急いでいたのでリヤゲートを綴じるスイッチを押して、
クルマに飛び乗りエンジン掛け走り始めた。
閉まりきらないうちに走り始めると、リヤゲートは動きを止める。
幸いにもスーツケースは自重でかろうじて残ったが、
せっかく買って一緒に載せたペットボトル飲料などを、
暗闇の中に撒き散らした。
NBR周辺は本当にどこも真っ暗だ。
とてもでは無いので、
探すことを諦めた。
荷台一つとってもこれだけ個性が異なる。
スバルのSUVなら、
幅広い嗜好性に他のメーカーより応えられる。
これらの要素を正確に分析し、
顧客に正しく伝えるのがセールスの仕事だ。
それを本気でやるためには相当な時間を要する。
生まれてこの方スバルなど見たことも無かった人など、
セールスになったらもっと大変だ。
今も知らなければならないし、
過去も知らなければならない。
だから一生懸命仕事に励む人ほど忙しい。
「甘えるな」に過剰反応した人がいらっしゃった。
だから最後にもう一度繰り返す。
甘えの構造を良く理解し、
セールスを勉強させて欲しい。
教養が無ければ接客方法も劣る。
人間力の絶対値を高めることが、
スバリストにとって最も大切な課題だ。
そして「どうしたら育つのか」、
甘えさせないよう正しく導いて戴きたい。
次はスキップしたままのXVだ。
この魅力を語りたい。