望桜荘の庭には榠樝(カリン)がある。
先日ダブルクラッチ合同会社から中込健太郎さんと、
小鮒康一さんが取材にいらっしゃった。
覚えている人も多いだろう。
いらっしゃった時、
この地に伝わるカリンと樫の話をさせて戴いた。
それがトヨタ自動車のサイトで紹介された。
↓
GAZOOサイト
毎年奇麗な花を咲かせるカリンも、
一気に芽吹いてきた。
望桜荘の花壇にも、
一気に激しい変化が訪れた。
3日ほど前、
雑草を取った時には、
まだ蕾さえ無かった。
あれよあれよという間に、
スイセンが花を付けた。
他にも名を知らぬ美しい花が咲いた。
地を這うように茎を伸ばし、
強靱な生命力を感じる。
ご近所から戴いたアイリスに付いていたらしい。
ほの青い可憐な花も咲いた。
いつの間にか自生した。
野性的な妻が臭いで正体を明かした。
柔らかそうな葉は、
食用出来そうな雰囲気を持つ。
葉をむしると、
花の姿に似つかわしくない強烈な臭いがしたそうだ。
野生の韮だ。
六地蔵川の清流の畔には、
様々な野草が年間を通じて咲き誇る。
抜いた方が良さそうな草と、
直感で残した方が良い草を区分し、
環境改善を続けるうちに、
花壇にも色々と面白い植物が現れ始めた。
今朝はとうとう山桜にも変化が訪れた。
花芽が一斉に色っぽく膨らんだ。
もう開くまであと僅かの時間だろう。
今日から「さくら祭り」が始まった。
桜湯と桜餅でおもてなしする。
桜の開花は間に合わなかった。
けれども一週間の開催なので、
一気に咲き誇る頃もイベントが続いているだろう。
望桜荘を是非見学して欲しい。
玄関を入り、
まず左の部屋を見て欲しい。
左の部屋に写真を飾った。
望桜荘として古民家を整える時の様子や、
こけら落としでSTI研究会を開いた時の写真が飾られている。
会社の周りを確認して工房に戻ると、
クリスタルブラックシリカのレヴォーグが居た。
この角度から見ると一番格好良い。
このクルマ、
なんだか普通のレヴォーグと違う。
全くノーマルなのに、
特別なオーラを出していた。
ドアを開けたらオーラを出す理由が解った。
サイドブレーキがあるだけで、
クルマが随分スポーティに見える。
新環状力骨構造ボディで成り立っている。
その最終完成形がレヴォーグだ。
SIシャシーもいよいよ熟成の頂点だ。
WRXは360馬力を超える出力に、
耐えるシャシーを手に入れた。
シットリとしたオブシディアンブラックパールも好きだった。
でも最新のボディーカラーはもっと良い。
こうして実物を見ると、
改めて一番好きだと思った。
ラメのたっぷり入ったクリスタルブラックシリカは、
光が当たるとキラキラ輝く。
黒は着こなすのが難しいけれど、
クールに決まると、
これよりステキな色は無い。
やはり色やスタイルは、
クルマを選ぶ上で最も大きな影響を与える。
スバルDNAセミナーの会場に、
驚くべき展示物があった。
門外不出の作品だ。
XVコンセプトが発表された。
あのクルマの1/1クレイモデルだ。
これは最新コンセプトカーの、
実物大クレイモデルだ。
そんな機密アイテムを、
生まれて初めて見た。
ショーカーを見て、
XVのイメージカラーであるオレンジの使い方や、
新鮮なブルーの調色に惚れ惚れしていたので、
しばらくの間、
近寄ったまま動けなくなる程だった。
もともとガルフレーシングカラーが大好きだ。
ポルシェミュージアムでこれを見てから、
昨年NBRのお土産センターに、
この色をあしらったジャケットがあったので、
迷わず購入したほど好きだ。
スバルのセンスも冴えに冴えている。
色調は似ているが、
もっと深い色だ。
嬉しい。
こんなステキな色を採用するんだ。
近づくとシリカがふんだんに使われた、
キラキラ輝く塗装である事がわかった。
今後はどんどんシリカを使い、
よりアグレッシブなカラー戦略を採ることが、
このモデルから想像できる。
さらに驚くべき展示物があった。
スバル VIZIV GT ビジョン グランツーリスモを紹介しよう。
スバルはここ数年来、
世界中のモーターショーで「VIZIV」の存在を誇張してきた。
本来はSUVであるはずのVIZIVを、
究極のスポーツカー「スバル VIZIV GT ビジョン グランツーリスモ」に仕立てた。
VIZIVIは限りなく実現性の高い次期戦略車だ。
エクシーガが発表より随分前に、
ショーモデルとしてデビューした事を思い出す。
スバルデザインチームは、
ダイナミック&ソリッドを真っ先にこのモデルに投入して造形した。
硬質な金属を削ぎ落した塊感が、
既にこのモデルに明確に出ていた。
カーボン素材をフルに活用し、
バッテリーやモーターを持つのにもかかわらず、
車重は1,380 kgしか無い。
それを2リットルの水平対向DITで引っ張る。
フロントに1つ、リアに2つのハイパワーモーターを搭載し、
システム全体で最大出力600 PSと最大トルク800 Nm(82 kgfm)を発揮。
各モーターの出力を独立制御して、
アクティブトルクベクタリングを働かせ、
誰でも容易に車をにコントロールできる。
石井さんの握りしめた拳から、
このモデルに掛けた意気込みを感じ取った。
これ、
永久保管するので無ければ、
望桜荘に飾るように是非お譲り戴きたい。
最近のスバルのデザインは、
際立って良くなった。
その秘密が何処に有るのか解った。
クレイモデルがどれだけ重要な役割を果たすのか、
一目瞭然になっていた。
血の通った造形だ。
実現しないはずが無い。
今後のスバルを引き締めるアイデンティティに必ずなる。
XVコンセプトを見ると、
造形のセンスが更に良く解る。
竹岡圭さんがファシリテーターを務めた。
モータージャーナリストとして活躍中で、
スバルにも縁の深い女性自動車評論家だ。
デザイン以上にシャシーは大切だが、
実に地味な場所なので、
説明することが難しい。
見えない所の改良を、
どのように解り易く説明するのだろうか。
その辺りにも興味があった。
宇津木さんは、
どこから見ても「博士」と呼びたくなる。
髪が白く長くなれば、
まるでお茶の水博士だ。
物凄く真面目な人だと言う事が、
話の端々から解った。
SIシャシーの延長線上にある。
従ってフロントストラット、
リヤダブルウイッシュボーンという構成は変わらない。
けれども剛性は飛躍的に向上している。
見えない部分の性能向上を、
見える部分以上に評価することがスバリストなら可能だ。
だから事前に興味がある人だけを集めたのだろう。
ハッキリ言って、
良いメーカーになろうとする会社は、
必ず器から良くするはずだ。
最初の大きな転換点は、
桂田さんの作った三代目レガシィだ。
積載性を高めるために、
マルチリンクを採用し、
ポルシェの力を借りて、
リヤサスの追従性を大きく高めた。
それがRSKの持つ驚異的な運動性能向上に繋がった。
同じロジックを、
E-tuneとしてワゴンにも投入し、
新世紀レガシィで大きく開花させた。
軽く強靱なボディと、
プレミアムケーカーを目指したマルチリンクの脚は、
今でも最新型を凌駕するポテンシャルを持つ。
次の転換点はSIシャシーだろう。
インプレッサからリヤサスをダブルウイッシュボーンに変え、
更にスペース有効性を高めた。
ただ、低出力車には優れたシャシーだったが、
WRXだけはこのシャシーではリヤの剛性が足りなかった。
過渡期のシャシーのため、
レガシィにはフロント側にクレードル構造を与え、
静粛性と低振動を極めようとした。
スバルは既存のSIシャシーや、
新環状力骨構造ボディを捨てた訳では無い。
究極の姿として、
レガシィ系とWRX系に発展した。
さらにそれらを上回る可能性を持つSGPを、
いよいよ満を持して投入する。
それが手に入るから、
ステアリング操作で、
僅か1~2度の微少な舵角を与えた領域の、
クルマの動きが劇的に変わる。
このセミナー全般に共通していた事は何か。
エンジン設計の佐々木さんが、
ダウンサイジングターボの肝を語っている。
開発目標を達成できたのは、
彼が独自の考えでTGVを設計変更したからだ。
彼が水平対向エンジンで熱弁を語る以上、
今後も新しい水平対向エンジンが開発され続けるはずだ。
昨年のディラーマン向けDNA研修でも講師を務めた関口さんだ。
総合安全性能を高めるには、
クルマが本来持つ0次安全性能を向上させ、
次にぶつからない能力を出す1次安全性能を高める。
次のモデルは後方の障害物も検知する。
ぶつかった時に安全をどう確保するのか。
それが2次安全性能だ。
ぶつけたクルマの実物と、
とてつもなく珍しいサンプルだ。
この様に、
思う存分可視化されて、
スバリストの脳天に突き刺さりそうなセミナーが、
同時進行していく様子は、
過去最高の興奮をもたらした。
心配そうに様子を窺っていたが、
やがてそれは笑顔に変わった。
素晴らしいセミナーを有り難うございました。
ー終わりー