時折わざと傍若無人な態度をとる事がある。
腹立たしい時だ。
だからそう言う事をするヒトの気持ちが解らないでもない。
しかし「本音と建前」使い分けないと、世の中がギスギスしてしまう。
これがうまく使いこなせる人が、素晴らしいリーダーになる資質を持つのだろう。
誰しも本音を言えば分かり易いが、そこまで言わなくても解る事も多い。
デビュー以来、GRFに対してかなり本音で接してきた。![f0076731_13284728.jpg]()
ダイナミックE-5ATは、
本音では遅れていると思ったが、
建前では良く出来たトランスミッションだと評価した。
建前というのは嘘ではなく、
思いやりの側面もある。
しかし甘やかすような思いやりはダメだから、
傍若無人な振る舞いが必要な事もある。
それではその二つを的確に使い分ける鍵は何か。
その鍵を「品性」と呼ぶ。
品性さえ高ければ、
傍若無人であろうとも聞く耳を持てる。
本音と建て前を上手く使い分けるから、
それに対して嫌味も感じないし、
本音を上手く悟らせる。
![f0076731_13290281.jpg]()
昨晩テストしたクルマは実に素直だった。
平成24年式の円熟したクルマだ。
雨の中を突っ走ったが、思う存分楽しめた。
ライントレース性能がとても良いので、思わずタイヤを確かめた。![f0076731_13291470.jpg]()
見た事が無いタイヤだった。
それほど新しいとも思えない。けれども不安なく激しい雨の中を走ることが出来た。![f0076731_13292870.jpg]()
クルマにはそれぞれ個性がある。
その個性をどのように上手く引き出すか。
また調教して主に懐くクルマにするのか。![f0076731_13293895.jpg]()
その仕事が生き甲斐だな。
今朝も雨だった。
別のGRFの点検整備が終わった。
昨夜のクルマはドノーマルだった。
暫く整備を中断していた黒い個体は、
少しだけカスタマイズされている。
雨の中を走った。![f0076731_13305619.jpg]()
まずブレーキを完全にオーバーホールした後なので、
丁寧に馴らしながら走った。
実は近頃以前より積極的に、GRFをお得意様に売っている。デビューした当初に比べ、随分と本音が変わった。![f0076731_13312348.jpg]()
とても頑丈で変速フィールも良く、
5ATで全く充分じゃないか。
本音でそう思うようになった。
このクルマはエンジンルームも綺麗だ。![f0076731_13313858.jpg]()
以前のオーナーが、
大切に乗っていたことが良く解る。
9万キロの距離を全く感じない。
さらに予防整備でタイミングベルトを交換し、![f0076731_13315215.jpg]()
ブレンボのキャリパーをオーバーホールした。
昨夜のクルマとほぼ同じだが、動力性能以外に不満があった。![f0076731_13320479.jpg]()
ライントレース性能が良くない。
路面のアンジュレーションも拾う。
ホイールは純正ではないが粗悪品でもない。黒いボディに良く似合う造形だし、ブランド品だから魅力もある。
独特の良さを持つタイヤだが、そろそろグリップに衰えが出ているのだろうか。![f0076731_13321641.jpg]()
低く構えたように見えるが、
STIのスポイラーを付けているからだろう。
![f0076731_13322778.jpg]()
スタイリッシュだが気を付け無いと顎を打つ。
乗り終えて北原課長に心象を伝えた。
整備担当者の吉村君は、
リフトアップした状態で各部の劣化を点検するので、
異常無しだと判断したようだ。
客観的に評価しないと解らない事も多いので、
ある程度スキルのある人間によるテストを欠かせない。
その役割を担うのも大事な仕事だ。
荷重をかけた状態で走らせると、
すこし不自然なので、
ハブベアリングを調べるように言った。
やはり限界に近かったようだ。
そこまで直してから、
最後の締めにロングテストをするつもりだ。
おかしいという直感が、
全社員に共有できるように、
毎日仕事を続けている。
GRFの誕生はWRXの復活につながった。その後S4やレヴォーグが順調に売れているのは、このクルマが良く出来ていて、結果的に成功したおかげともいえる。
2009年に望桜荘の庭を写した画像が出てきた。![f0076731_13330470.jpg]()
当時の望桜荘に植えられている、翌檜や銀杏の木を組みて欲しい。![f0076731_14300505.jpg]()
昨日撮影した庭の画像と比べると、8年半の成長度合いが良く解る。
ちなみにその頃から泳ぎ始めた。記録を見たら1000m泳ぐのに、44分25秒かかっていた。
ヒトはもう成長しないが、進歩を続ける。
生きるとはそう言う事では無いのだろうか。
昨晩久し振りに泳ぐと、
前回のタイムを僅か4秒だが短縮できた。![f0076731_14420349.jpg]()
僅か4秒、されど4秒。
この差は大きい。
2009年はスバルにとって忘れられない年だ。
まさに望桜荘の庭が熟成を得たように、スバルも新たな時代のスタートを切った。BR型レガシィがデビューし、SUBARUの米国における躍進の始まりだった。
その頃、SUBARUは何を考えていたのだろうか。
その前年の2008年もターニングポイントだった。国内専用開発の多人数乗りがデビューして、スバル国内営業本部は活気立った。
SH型フォレスターが大成功を納め、軽自動車の撤退を吹き飛ばす勢いを見せた。
SUBARU全体の人事も活性化して、新しい血が注がれていった。
その反面イケイケどんどんの出向社長が、傍若無人な行動をとるので、堪忍袋の緒が切れた事がある。![f0076731_14453598.jpg]()
2008年8月2日、この日は2つの取材を申し込まれていた。
一つ目はSUBARUの機関誌を飾る記事だった。
取材陣が到着すると、滅多に顔を見せない出向社長が突然現れた。
会議室でプレゼンを始めたら、誰が居ようとお構いなく言いたい事を言い始めた。
今では笑っちゃうほどばかげた話だが、当時は修業が足らず我慢ならなかった。![f0076731_15164462.jpg]()
最初はお茶を入れたりお菓子を出して、せっせともてなしを続けたが、その内に怒りが頭の中で炸裂した。
望桜荘の由来などには全く興味が無く、普通の常識があれば言わないような暴言を吐いた。
恐らく暴言だとは思っていないのだろうが、平気でこの席で言い放つ品性しか持ち合わせていなかったのだろう。
この人物がどの立場で何を考え就任したのかは知らないが、SUBARUの内部が荒れていたことを示す象徴だった。
だいたいにおいて、その男が取材の場に現れた事自体が自体が嫌でたまらなかったが、恐らく立場上行かないわけにはゆかないので嫌々来たのだろう。
たぶん相性が元々悪いのだろう。![f0076731_14591098.jpg]()
非常に素晴らしい取材が出来たと、スタッフはみんな喜んでいたが、この記事は全てお蔵入りにさせてもらった。
こんな男が社長で、良く企業として成り立つものだと思ったが、大企業の理論では当たり前のことなのだろう。
彼も何も言わないが、その時は災難だと思ったに違いない。今を時めく杉山本部長が、美しい女性の隣に座っている。
よく覚えているはずだ。
間に挟まって苦労するのは、いつもロードマンと呼ばれる人たちだ。
そう言えば次の社長を務められる、中村知美さんもロードマンだった。杉山本部長と問時同じ立場で、中津スバルに良く来られた。
実に懐かしい。お目に掛かるのが楽しみで仕方がない。
当時は富士重工の森社長が、大きな構造改革を進めていた。
記者会見でも「走りに振ったクルマを今は作るな」と釘を刺した。
これで群馬対新宿の、ある種の権力闘争に決着が着いた。
この日の出来事は、SUBARUの開発姿勢の変化を如実に暗示していた。
次にもう一つの取材を受けた。
人生というのは実に面白い。STIから紹介を受けた怪しげなオトコが、ショールームにおずおずと入ってきた。
見かけは怪しかったが、話すと全く違う。
同じ日に来た別の男は、背広を着た粗野な男だったが、こちらは見かけは粗野だが、心に裃を纏っていた。
心が粗野なオトコは間も無く視野から消えたが、心に裃を纏った男との友情は日増しに厚くなった。![f0076731_15112380.jpg]()
後方の桜も見て欲しい。根元までコンクリートで固められている。桜にとってターニングポイントは間近だった。
人生にもターニングポイントがあり、それは過去から未来へと必ず続く。
彼は見るモノすべてに興奮し、非常に素直な姿勢で物事を見た。![f0076731_15285778.jpg]()
劣悪な経験の後だから、今となって振り返ると、彼は随分得をしたのかも知れない。
と言う事は、彼には「徳」があると言う事だ。
「徳」は先祖から遺伝するものなので、徳の無い人というのは、初めから持つ背景が無かったと言う事だ。
だから徳の無い人を責めてはいけないのだが、当時は若くてそこまで見えなかった。
反省しなければ。
スバルには悩みがあった。冒頭のWRXと同じシャシーで、100万円台のコンパクトカーも作る必要がある。
四代目レガシィのエッセンスも注がれたが、「やっぱりコンパクトカーっていうのは、1500ccくらいが妥当だ」と考えて作られたのが三代目インプレッサだ。
ボディ形状は当然ハッチバックだ。多用途性を考えたらそれしか選択肢はない。
同じ頃に良く売れた、ホンダのフィットも比較検討の対象になったはずだ。1500ccが好調なのを横目で見ながら、三代目インプレッサの開発は進んだ。
開発者たちの本音は、
「やっぱり1500ccのFWDがベストバランスだ」だったに違いない。
ところがスバルにはややこしい問題がある。
「雪に強い」伝統を守るには、4WD抜きでの開発はあり得ない。
また冒頭のWRXの様に頭抜けたクルマは、本来ならばコンパクトカーの開発から離れた位置にあるべきだ。
この辺りがスバルの開発における、強さでもあり足枷でもある。
そこでインプレッサのデビューを振り返る。初代の場合、
最初のクルマにベースグレードを選んだ。
次の丸目も最初にFWDを選んだ。1500のスポーツワゴンだった。
二代目は次から次へと基幹性能が高くなり、丸目のWRXからS201まで豪快な性能も楽しんだ。
三代目では最初にやはりFWDのマニュアルを降ろし、S-GTからWRX STIへと乗り換えた。
そしてマリオに出会った翌年の、2009年の10月にまたしてもインプレッサを愛機に選んだ。![f0076731_15323318.jpg]()
WRブルーで、1.5リットルで、FWDで、マニュアルだった。![f0076731_15330468.jpg]()
面白いクルマだった。偶然同時に桜を撮影していた。
2009年10月4日の桜は、![f0076731_15340264.jpg]()
少しだけ根元のコンクリートをはがされていた。その部分を養生した同じサクラは、徐々に樹勢を取り戻した。今年はどうなったのか。同じ場所で撮影した。![f0076731_16440872.jpg]()
明らかだ。基幹性能を高めると確実に効果が出る。![f0076731_16390430.jpg]()
根元が大切だ。工事中なので放置しているが、コンクリ打たれた姿と、青々と雑草が茂る環境、どちらがいいと思う。![f0076731_16445972.jpg]()
本来のスバルはアイサイトや自動運転、それにモーターアシストなどギミックだけで伸びる会社ではない。
基幹性能の開発、特に変速機と発動機の開発で大幅に後れを取った。
根元の部分がおろそかだったことが、今回の騒ぎの源でもある。
スバリストが本当に喜ぶエッセンスは戦闘力だ。戦闘力のあるエンジンを作るためには、高性能な変速機が欠かせない。
高性能な変速機が無いから、動力性能の追及がおろそかになる。
フォレスター用に直噴の2.5リットルエンジンが用意されたが、本来ならば現行のレガシィに搭載されるべきエンジンだ。
それを怠りレガシィファンをガッカリさせただけでなく、6気筒まで捨てることを、本来ならファンが怒りを込めて告発すべきだ。
そしてなぜレヴォーグが売れたのか。ワクワクするテンロクの直噴を出したからさ。
ところがそこで重要な技術資源が枯渇した。だから何も出てこない。
フォレスターに今頃グローバルエンジンを直噴化して搭載し、たかがモーターアシストのキャリーオーバーでは、百瀬さんが草葉の陰で泣くだろう。
初代インプレッサは、4つのエンジンバリエーションで誕生した。
キャリーオーバーもあったが、1500を初めて出した。
ワクワクした。
だからこそ低排気量が必要だ。フォレスターのデビューでダウンサイジング出来なかったことは、後々大きく響くかもしれない。
モーターアシストは重い。芯間まで変えろとは言わないので、既存のストロークとボアを組み合わせダウンサイジングして欲しかった。
インプレッサのテンハチは失敗したが、今ここでテンハチを出せば、間違いなくスバリストは飛びついたはずだ。
井戸を枯らした理由は技術資産を食いつぶし、目先の利益を優先する開発に集中したからだ。
うっとおしいニュースが目立つのでTVを見るのが億劫だ。
財務省の前で何言ってんだ。つまらない人間が増え過ぎた。
オーディナリーな人たちには申し訳ないが、燃費偽装やリコールなんて屁でもないね。建前で誤れば十分だと思う。
本音でお詫びするべきは、動力性能開発を怠る経営をしたことだ。
傍若無人な発言だが、まさに本音と建前をわきまえたつもりだ。
財務省の前で大臣に止めろと騒ぐ「オーディナリー」な人々は、トレンドラインに乗っているのだろう。
株価が上昇して、オーディナリーな企業になったスバルも、トレンドラインには乗っている。
でも忘れちゃいけない。
SUBARUの本質は笑顔を作る会社ではない。綺麗ごとを止めて本音で話したら如何だろう。
腹立たしい時だ。
だからそう言う事をするヒトの気持ちが解らないでもない。
しかし「本音と建前」使い分けないと、世の中がギスギスしてしまう。
これがうまく使いこなせる人が、素晴らしいリーダーになる資質を持つのだろう。
誰しも本音を言えば分かり易いが、そこまで言わなくても解る事も多い。
デビュー以来、GRFに対してかなり本音で接してきた。

本音では遅れていると思ったが、
建前では良く出来たトランスミッションだと評価した。
建前というのは嘘ではなく、
思いやりの側面もある。
しかし甘やかすような思いやりはダメだから、
傍若無人な振る舞いが必要な事もある。
それではその二つを的確に使い分ける鍵は何か。
その鍵を「品性」と呼ぶ。
品性さえ高ければ、
傍若無人であろうとも聞く耳を持てる。
本音と建て前を上手く使い分けるから、
それに対して嫌味も感じないし、
本音を上手く悟らせる。

平成24年式の円熟したクルマだ。
雨の中を突っ走ったが、思う存分楽しめた。
ライントレース性能がとても良いので、思わずタイヤを確かめた。

それほど新しいとも思えない。けれども不安なく激しい雨の中を走ることが出来た。

その個性をどのように上手く引き出すか。
また調教して主に懐くクルマにするのか。

今朝も雨だった。
別のGRFの点検整備が終わった。
昨夜のクルマはドノーマルだった。
暫く整備を中断していた黒い個体は、
少しだけカスタマイズされている。
雨の中を走った。

丁寧に馴らしながら走った。
実は近頃以前より積極的に、GRFをお得意様に売っている。デビューした当初に比べ、随分と本音が変わった。

5ATで全く充分じゃないか。
本音でそう思うようになった。
このクルマはエンジンルームも綺麗だ。

大切に乗っていたことが良く解る。
9万キロの距離を全く感じない。
さらに予防整備でタイミングベルトを交換し、

昨夜のクルマとほぼ同じだが、動力性能以外に不満があった。

路面のアンジュレーションも拾う。
ホイールは純正ではないが粗悪品でもない。黒いボディに良く似合う造形だし、ブランド品だから魅力もある。
独特の良さを持つタイヤだが、そろそろグリップに衰えが出ているのだろうか。

STIのスポイラーを付けているからだろう。

乗り終えて北原課長に心象を伝えた。
整備担当者の吉村君は、
リフトアップした状態で各部の劣化を点検するので、
異常無しだと判断したようだ。
客観的に評価しないと解らない事も多いので、
ある程度スキルのある人間によるテストを欠かせない。
その役割を担うのも大事な仕事だ。
荷重をかけた状態で走らせると、
すこし不自然なので、
ハブベアリングを調べるように言った。
やはり限界に近かったようだ。
そこまで直してから、
最後の締めにロングテストをするつもりだ。
おかしいという直感が、
全社員に共有できるように、
毎日仕事を続けている。
GRFの誕生はWRXの復活につながった。その後S4やレヴォーグが順調に売れているのは、このクルマが良く出来ていて、結果的に成功したおかげともいえる。
2009年に望桜荘の庭を写した画像が出てきた。


ちなみにその頃から泳ぎ始めた。記録を見たら1000m泳ぐのに、44分25秒かかっていた。
ヒトはもう成長しないが、進歩を続ける。
生きるとはそう言う事では無いのだろうか。
昨晩久し振りに泳ぐと、
前回のタイムを僅か4秒だが短縮できた。

この差は大きい。
2009年はスバルにとって忘れられない年だ。
まさに望桜荘の庭が熟成を得たように、スバルも新たな時代のスタートを切った。BR型レガシィがデビューし、SUBARUの米国における躍進の始まりだった。
その頃、SUBARUは何を考えていたのだろうか。
その前年の2008年もターニングポイントだった。国内専用開発の多人数乗りがデビューして、スバル国内営業本部は活気立った。
SH型フォレスターが大成功を納め、軽自動車の撤退を吹き飛ばす勢いを見せた。
SUBARU全体の人事も活性化して、新しい血が注がれていった。
その反面イケイケどんどんの出向社長が、傍若無人な行動をとるので、堪忍袋の緒が切れた事がある。

一つ目はSUBARUの機関誌を飾る記事だった。
取材陣が到着すると、滅多に顔を見せない出向社長が突然現れた。
会議室でプレゼンを始めたら、誰が居ようとお構いなく言いたい事を言い始めた。
今では笑っちゃうほどばかげた話だが、当時は修業が足らず我慢ならなかった。

望桜荘の由来などには全く興味が無く、普通の常識があれば言わないような暴言を吐いた。
恐らく暴言だとは思っていないのだろうが、平気でこの席で言い放つ品性しか持ち合わせていなかったのだろう。
この人物がどの立場で何を考え就任したのかは知らないが、SUBARUの内部が荒れていたことを示す象徴だった。
だいたいにおいて、その男が取材の場に現れた事自体が自体が嫌でたまらなかったが、恐らく立場上行かないわけにはゆかないので嫌々来たのだろう。
たぶん相性が元々悪いのだろう。

こんな男が社長で、良く企業として成り立つものだと思ったが、大企業の理論では当たり前のことなのだろう。
彼も何も言わないが、その時は災難だと思ったに違いない。今を時めく杉山本部長が、美しい女性の隣に座っている。
よく覚えているはずだ。
間に挟まって苦労するのは、いつもロードマンと呼ばれる人たちだ。
そう言えば次の社長を務められる、中村知美さんもロードマンだった。杉山本部長と問時同じ立場で、中津スバルに良く来られた。
実に懐かしい。お目に掛かるのが楽しみで仕方がない。
当時は富士重工の森社長が、大きな構造改革を進めていた。
記者会見でも「走りに振ったクルマを今は作るな」と釘を刺した。
これで群馬対新宿の、ある種の権力闘争に決着が着いた。
この日の出来事は、SUBARUの開発姿勢の変化を如実に暗示していた。
次にもう一つの取材を受けた。
人生というのは実に面白い。STIから紹介を受けた怪しげなオトコが、ショールームにおずおずと入ってきた。
見かけは怪しかったが、話すと全く違う。
同じ日に来た別の男は、背広を着た粗野な男だったが、こちらは見かけは粗野だが、心に裃を纏っていた。
心が粗野なオトコは間も無く視野から消えたが、心に裃を纏った男との友情は日増しに厚くなった。

人生にもターニングポイントがあり、それは過去から未来へと必ず続く。
彼は見るモノすべてに興奮し、非常に素直な姿勢で物事を見た。

と言う事は、彼には「徳」があると言う事だ。
「徳」は先祖から遺伝するものなので、徳の無い人というのは、初めから持つ背景が無かったと言う事だ。
だから徳の無い人を責めてはいけないのだが、当時は若くてそこまで見えなかった。
反省しなければ。
スバルには悩みがあった。冒頭のWRXと同じシャシーで、100万円台のコンパクトカーも作る必要がある。
四代目レガシィのエッセンスも注がれたが、「やっぱりコンパクトカーっていうのは、1500ccくらいが妥当だ」と考えて作られたのが三代目インプレッサだ。
ボディ形状は当然ハッチバックだ。多用途性を考えたらそれしか選択肢はない。
同じ頃に良く売れた、ホンダのフィットも比較検討の対象になったはずだ。1500ccが好調なのを横目で見ながら、三代目インプレッサの開発は進んだ。
開発者たちの本音は、
「やっぱり1500ccのFWDがベストバランスだ」だったに違いない。
ところがスバルにはややこしい問題がある。
「雪に強い」伝統を守るには、4WD抜きでの開発はあり得ない。
また冒頭のWRXの様に頭抜けたクルマは、本来ならばコンパクトカーの開発から離れた位置にあるべきだ。
この辺りがスバルの開発における、強さでもあり足枷でもある。
そこでインプレッサのデビューを振り返る。初代の場合、
最初のクルマにベースグレードを選んだ。
次の丸目も最初にFWDを選んだ。1500のスポーツワゴンだった。
二代目は次から次へと基幹性能が高くなり、丸目のWRXからS201まで豪快な性能も楽しんだ。
三代目では最初にやはりFWDのマニュアルを降ろし、S-GTからWRX STIへと乗り換えた。
そしてマリオに出会った翌年の、2009年の10月にまたしてもインプレッサを愛機に選んだ。


2009年10月4日の桜は、




基幹性能の開発、特に変速機と発動機の開発で大幅に後れを取った。
根元の部分がおろそかだったことが、今回の騒ぎの源でもある。
スバリストが本当に喜ぶエッセンスは戦闘力だ。戦闘力のあるエンジンを作るためには、高性能な変速機が欠かせない。
高性能な変速機が無いから、動力性能の追及がおろそかになる。
フォレスター用に直噴の2.5リットルエンジンが用意されたが、本来ならば現行のレガシィに搭載されるべきエンジンだ。
それを怠りレガシィファンをガッカリさせただけでなく、6気筒まで捨てることを、本来ならファンが怒りを込めて告発すべきだ。
そしてなぜレヴォーグが売れたのか。ワクワクするテンロクの直噴を出したからさ。
ところがそこで重要な技術資源が枯渇した。だから何も出てこない。
フォレスターに今頃グローバルエンジンを直噴化して搭載し、たかがモーターアシストのキャリーオーバーでは、百瀬さんが草葉の陰で泣くだろう。
初代インプレッサは、4つのエンジンバリエーションで誕生した。
キャリーオーバーもあったが、1500を初めて出した。
ワクワクした。
だからこそ低排気量が必要だ。フォレスターのデビューでダウンサイジング出来なかったことは、後々大きく響くかもしれない。
モーターアシストは重い。芯間まで変えろとは言わないので、既存のストロークとボアを組み合わせダウンサイジングして欲しかった。
インプレッサのテンハチは失敗したが、今ここでテンハチを出せば、間違いなくスバリストは飛びついたはずだ。
井戸を枯らした理由は技術資産を食いつぶし、目先の利益を優先する開発に集中したからだ。
うっとおしいニュースが目立つのでTVを見るのが億劫だ。
財務省の前で何言ってんだ。つまらない人間が増え過ぎた。
オーディナリーな人たちには申し訳ないが、燃費偽装やリコールなんて屁でもないね。建前で誤れば十分だと思う。
本音でお詫びするべきは、動力性能開発を怠る経営をしたことだ。
傍若無人な発言だが、まさに本音と建前をわきまえたつもりだ。
財務省の前で大臣に止めろと騒ぐ「オーディナリー」な人々は、トレンドラインに乗っているのだろう。
株価が上昇して、オーディナリーな企業になったスバルも、トレンドラインには乗っている。
でも忘れちゃいけない。
SUBARUの本質は笑顔を作る会社ではない。綺麗ごとを止めて本音で話したら如何だろう。