金曜日の夜、
30分を切って土日を迎えた。
筋力が落ちたのか、
30分の壁がいつの間にかできていた。
正直に言うと500mで止めたくなったが、
ここで壁を超える執念も生まれた。
いつもと違う土日の気配を感じたからだ。
ストイックになると、
見えないものが見えたり、
壁だと思っていた障壁を、
スルリと抜けることが出来たりする。
500mくらいで止めておこうかな、
と止めることは簡単だが、
そこで執念を見せると、
その後に素晴らしい爽快感がやってくる。
泳ぎ終えてプールサイドを歩くとき、
その日で一番爽快な気分になれた。
そういう時はタイムも良いもんだ。
そんな気持ちで土日を迎えたせいなのか、
この二日の間、
本当に充実した仕事が出来た。
先のブログで述べた、
おかしなリコールがらみの電話が一件あったけれど、
それ以外は楽しくお客様と過ごすことが出来た。
日曜日の締めは、
レカロを付け終えたWRXだった。
工房で主の到着を今か今かと待っていた。
良い買い物をされたと思った。
特にリヤシートから見ると、
良さがとてもわかる。
ありがとうございました。
今度是非一緒にサーキットを走りましょう。
吉村さんが帰られる頃になると、
荒れていた天気も治まり、
残務を終えて外に出たら綺麗な月が待っていた。
一夜明け、
台風一過のさわやかな秋空になった。
恵那山の手前にある「前山」が、
きれいに色付いていた。
花梨の実も黄色くなってきた。
台風にもめげずに頑張っているが、
今年は昨年より遥かに実が少ない。
植物にもリズムがあって、
調子のよい年もあれば悪い年もある。
花梨は結実が少ないが、
物凄い量の実を付けた植物もある。
色付き始めた頃から、
その重さで枝が撓っていた。
妻と収穫して何かを作ろうと相談したが、
忙しくて放りっぱなしだった。
台風が来たので、
タイミングを逃したかと心配したが、
予想に反した実り具合だ。
とんでもないことになっていた。
植えてから5年くらいだろうか。
この斜面に一本だけ植えられている。
一本と言っても集合体だ。
塊状の苗を一本だと勘違いして植えてしまった。
ブルーベリーと喧嘩しない植物であることは間違いなさそうだ。
この時期に結実して熟すから「アキグミ」と呼ぶのだろうか。
グミは子供の頃慣れ親しんだ果樹だ。
真っ赤に色づいた実を学校帰りによく食べた。
疫痢になるから気を付けなさいと言われたが、
今では「疫痢」なんて死語に近い。
たわわに実り枝が地面に着きそうになっている。
真っ赤に熟した実がとても綺麗だ。
しかし驚くような光景だ。
若さの象徴だろう。
柔軟性があるので自重で折れたりせず、
そこから蔓のように身を滴らせている。
一つまみ取って口に含んだ。
その渋さが心地よいので、
なんだか不思議な気持ちになる。
でも子供の頃に食べた味と少し違う。
枝に棘があるので鳥に取られにくいようだ。
この場所を妻に任せて幹の近くまで入っていった。
こちらは北側になるので、
川に面した南側の実の方が大きいように感じたからだ。
手を伸ばして大き目の実を取る。
案の定だ。
日当たりの違いなのか、
ほのかな甘さを感じた。
見えているつもりでも、
ここまで入り込まないと見えない。
川の上の方に、
真っ直ぐ正しく伸びた枝の実は全く違う味がした。
昔食べたグミと同じ味がした。
枝を手繰り寄せて固定した。
体中にグミがくっつき一部が潰れて果汁が付くが、
そんなこと気にしない気にしない。
妻がグミを取る様子を見ていて、
はっと気が付いたことがある。
今回の事はSUBARUの経営陣にとって、
本当に良い薬になった。
とても真摯な対応で何ら問題はないと思う。
スバルマガジン副編集長の三澤さんが、
大変良い記事を書いていらしゃる。
そちらも紹介したい。
久し振りに元気なお顔を拝見した。
吉永社長と会見しているのは大崎篤さんだ。
彼はトレジアの開発責任者を務め、
トヨタとのアライアンス第一号をまとめ上げた実績を持つ。
とても実直な男だから、
品質保証と言うスバルにとって特に要となる役職に就いたのだろう。
吉永さんと大崎さんの話には、
絶対に嘘もごまかしも無いはずだ。
むしろ自ら届け出ているわけだから、
やましいことなど何もない。
SUBARUは選択と集中で事業規模を見直し、
本来の方向性を絞り込んだ結果、
とくにアメリカ市場を中心としたグローバルな環境で一気に成長を始めた。
よく日の当たる先端の方の大きな熟した実は、
とても甘くておいしい。
遠くにあっても良い実だと直ぐわかる。
大丈夫だと思っていても、
身の丈以上に実る量が大きくなりすぎて、
自分自身の傾きが解らなくなってしまったのだ。
気を付けていても、
何かが起こるまで振り向かない事は誰でも経験がある事だ。
これから何にするか考えよう。
SUBARUは大きく分けて自動車を開発する分野、
そしてその自動車を製造する分野、
更にできたクルマを売る分野に分かれている。
いくら良い物を考え出しても、
作ることが出来なければ何もならない。
そして作ることが出来ても、
売ることが出来なければ何もならない。
すなわち開発と製造と販売は切っても切れない三位一体の関係だ。
今度の問題は開発も販売も関係がない、
製造の分野で起きている。
問題を起こしたと言っても、
それは解釈上の問題だ。
製造は限界を超えるような、
大車輪の活躍をしている。
それでは薬になったという意味は何か。
開発も販売も本当に末端の声を聴かなくなった。
特にSTIに関する事では、
いくら意見を行ってもSUBARUは聞く耳を持たなかった。
今度も抽選はやめた方が良いというのにもかかわらず、
国内マーケティングが全てを仕切り、
STIのやりたいようにさせなかった。
持ち上げているようで持ち上げていない。
そもそもSTIをリスペクトするつもりなど毛頭も無い。
森部長は世にカーボンルーフを送り出した男だ。
以前からSを売る店を選別し、
専用ショールームを持ち、
年間100万円以上STIパーツを売る力があって、
正しく説明できる専門のセールスが居る所だけしか、
売らせないようにすべきだと提言し続けている。
それをSTIが頑として聞かないのなら仕方がないが、
国内販売がしゃしゃり出るのがおかしい。
Sを持つ人は、
STIの本社で自由に珈琲ぐらい飲めるようにしてあげたいと、
STIの人間なら絶対に思っている。
はっきりと一線を引き、
STIの製品から一切のスバルマークを外すべきなのだ。
幹が傾いているのに気が付かないから、
驕りが生じている。
だから良い薬になった。
今回は知らなかった、
聞かなかったとは言えないと思う。
小笠原さんにも話したし、
執行役員の堤ひろみさんには、
もっと具体的な提案をしてある。
まさかこんな騒ぎになるとは思っていなかったから、
あの時に話しておいてつくづく良かった。
そうですよね、とは言ってくれたが、
その時は多分左の耳に抜けたかもしれない。
これからSTIと名を付けるクルマのCMをもっとやるべきで、
その場合にはSUBARUのスの字も入れないようにすべきだと言った。
SUBARUでは無くてSTIが欲しいと思っているお客様に、
本気でテレビCMを作るべきだろう。
全くSUBARUが匂わないようにして。
SUBARUがSTIを活かしたいと思うなら、
余計にそうすべきだ。
基幹性能の開発にお金を掛けていない事実も、
今回のモーターショーでばれてしまった。
レヴォーグがデビューした時に、
開発トップの武藤さんに、
800万円のプライスタグをつける日を目指しましょうと直訴した。
「800万~~~(笑)」と鼻にも掛けてもらえなかったが、
聞く耳を持っていてくれたなら、
動力性能を置き忘れたスバルに、
やはり何かが待っていた。
動力性能を捨てると、
ミッションも捨てなければならない。
SUBARUとSTIは別の物だと、
そろそろ本気で認識しないと、
割れかけた丼の底が本当に割れる。
だから良い薬になった。
技術開発の遅れを、
「笑顔を売る」と言う言葉でごまかしたり、
ルーツである中島知久平の存在をぼかしたのも、
これらの遠因だと思えば、
今回の薬がきっと効くに違いない。
三澤さんや自動車研究家の山本シンヤさんと、
STIの今後について深く話す機会があった。
スバル好きとして、
全く同じ考えを持つことが解り力強かった。
だから今回の出来事をアキグミの姿から冷静に分析で来た。
ちょっと聞く耳を持ってなかったと思わないと、
今回の事を将来に生かせない。
STIも今は注目されてるが、
このままでは夢中になっている外国人まで飽きてしまう。
今後は笑顔を売るのではなく、
本来の技術を売る会社に戻ってほしい。
それは凄いクルマを出す以外にない。
薬が効いたら、
宜しくお願いします。