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Channel: 中津スバルの濃いスバリストに贈る情報
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アルシオーネ6気筒エンジン搭載車の誕生とFS-65計画の神髄

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岡田さんからお預かりしたXT-6、通称アルシオーネVXが遂に完成した。
いよいよ最終テストをする寸前に、山梨から宮下さんがいらっしゃった。
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愛機の点検と修理を兼ねて、お友達とドライブに来られた。


好天の走行を楽しまれたようで、このあとトヨタ博物館を目指して出発された。


クルマ三昧の暮らしを楽しんでおられる。
宮下さんも岡田さん同様に渋いクルマ選びをされている。


XT-6の開発でフロントヘビーが極限まで進み、
それを一発で解決する秘密兵器が求められた。


それがVTD(バリアブルトルク ディストリビューション)だ。


そのVTDをスポーツワゴンに搭載し、
回頭性を高めスポーツカー並みに仕立てたクルマが、
インプレッサ スポーツワゴンWRXなのだ。


これが発売になった平成5年当時も、
実は何かと厄介なことがたびたび起きた。


日産自動車が座間工場を閉鎖すると発表し、
従業員削減が現実のものとなり始めた。


新党ブームで政治も混乱し、
例の細川政権が誕生した。


日産と業務提携していたスバルは、
当時日産から天下りした河合社長の下、
再建計画がひと段落した頃だ。
次の中期経営計画に着手したが、
具体的な企業としての在り方がはっきりしない時期だった。
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宮下さんにお土産を戴いた。
いつもありがとうございます。


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高遠饅頭を食べると、
満開の桜を思い出す。
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あの頃、
高遠に花見に行き、
会場で饅頭の早食い競争に出た。


あれはきつかった。(笑)


アルシオーネが誕生し、
6気筒エンジンを搭載した背景にはプラザ合意がある。


中曽根内閣における大蔵大臣は竹下昇だった。


アメリカの赤字を減らすために、
円高に誘導する先進五か国の合意だった。


【車名】
SUBARU アルシオーネ VX(Victorious X)
【駆動方式】
AWD(全輪駆動)
【型式】
E-AX9
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4510×1690×1335
ホイールベース(mm):2465
トレッド前/後(mm):1435/1440
最低地上高(㎜):165
車両重量(kg):1300
最小回転半径(m):5.2
乗車定員 4名
【エンジン】
ER27/水平対向6気筒2.7L SOHC12バルブ
内径×行程(mm):92.0×67.0
圧縮比:9.5
最高出力:150PS/5200rpm
最大トルク:21.5kg・m/4000rpm
【燃料供給装置】
EGI
【変速機】
電子制御4速AT
【ステアリングギヤ比】
17.0:1
【燃費】
8.0km/l (10モード)
【標準装備】
アクティブトルクスプリットAWD 205/60R14タイヤ アルミホイール
シングルブレードワイパー リトラクタブルヘッドライト


【税抜車両本体価格】
2.835.000円
ボディカラー:ブリリアントシルバー・メタリック


あらかじめ断わっておく。
このあと動画の中でVR-6と混同して表現しているが、


Rはターボに付けられた符号だ。


アルシオーネに共通するVは勝利を意味するVictoriousだ。


そしてXは永遠の未知数として6気筒を表している。


アルシオーネはギリシャ神話における巨人「アトラス」と、
精女プレイオネの間に生まれた姉妹の一人だ。
全能ゼウスによって鳩になり空に飛び立ち星になった。

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初の水平対向6気筒SOHC12バルブエンジン搭載
エレクトロニューマチックサスペンション

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電動油圧パワステ
日本初の4速AT電子制御4WDとアンチロックブレーキシステムを統合制御
初めて5穴でPCD100ミリのアルミホイールを装備
当時のブロンズガラスは高級車の必需品だ

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このクルマが発売になった時、
スバルは思っても居なかっただろう。


まさか3年半後に再建計画を発表することになろうとは。


6気筒誕生はスバルの悲願だった。


日産自動車と業務提携した条件の中に、
日産と競合する車種を開発しない条項があった。


無理して開発したOHVの6気筒は、
開発中止の憂き目にあったが、
当時の技術者たちは絶対に諦めなかった。
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チャンスを狙いクリーンヒットを放った。


まず日産の言う通りリッターカーと軽自動車に経営資源を集中した。
そして悲願の経営計画を発表した。


それがFS-65計画だ。
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フジストラテージ65、
65の意味するのは昭和65年。


世界企業への躍進を目指しドルが150円でも生き残れる体質を作り、
売上高を1兆円に引き上げるという大それた目標だった。


最初は心配された円高ドル安誘導が、
逆に企業の資金調達を世界市場から可能にさせ、
景気が恐ろしいほど良くなった。


結果的にバブル崩壊につながったが、
スバルはその前に崖っぷちに立った。


今考えれば僅かな赤字だが、
バブル崩壊前の赤字は、
経営の権力抗争上、
興銀より日産へ有利に働いた。


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その日産が後になって実質的に倒産し、
ルノーの支配下に置かれた。


そのおかげでスバルは日産と切れたが、
日産は次に三菱を飲み込んだ。


YAZAWAが好きではないので、
あのCMには違和感を覚えたが、
キャラクターだけではなく行為にも疑問が多かった。


出来ない事を出来ると言った。
嘘は良くない。


その結果、
奈落の底が割れた。


自動車メーカーにとって完成検査は何よりも重い。


昔から「完検切れ」と言って長期在庫のクルマが存在したが、
それはそれはデリケートに扱い、
絶対に切れないように売り切った。


今回の出来事は、
一般の自動車会社ならペーパー車検を行ったのと同じで、
その内容によっては陸運支局から指定工場の取り消しを受ける。


発表された内容だと、
事業場が多岐にわたっているので、
組織的な行為だし台数も多いと想定される。


本当に何が起きるのか、

全く分からない時代になった。


そこで一つ言えることがある。


先輩が苦労したことを、
やはりきちんと守る事だ。




日産のように奈落の底に堕ちたくないはずだ。


SUBARUの業績がいくら良いからと言って、
やはり優れた自動車メーカーから見ると、
まだまだその内容は子供並みに小さい。


その子供が一人で大きくなったつもりで、
先輩の苦労を忘れると奈落の底に堕ちる。


6気筒エンジンは悲願だったはずだ。
少なくともバブルのおかげでそれを残せるブランドとプラントも手に入れた。


ER27からEG33へ、
そしてEZ30からEZ36へと。







このクルマが生まれた年
「双羽黒の廃業事件」

が起きた。


これは、

今のスバルに当てはまる。







キチンとした幕内優勝経験がない子供に、
期待が高いからと急いで横綱にした。


その挙句、
天性の才能がありながら、
それを棒に振ることになった。


プラントを持つスバルが、
ちゃんとSTIというブランドを育てられない。


なぜか。


いつの間にか、
「運転が上手くなるクルマ」を作るようになった。


それは自己満足で客の求めるものではない。


しかもBMWのMに比べたら、
運転が上手くなる性能に大人と子供くらいの差が出てしまっている。


S402でいいところまで追いついたが、
その後は離される一方だ。


何度も6発に挑戦し、
大人のメーカーになりつつあるのに、
それを捨て目先だけに走る姿は、
いづれ日産のように奈落の底を割るかもしれない。


動力性能開発を疎かにするスバルに未来はないかもしれない。



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