以前は良く通った道だが、
東京帰りに開田まで走る機会が減り、
とんとご無沙汰だった。
miwa & torte
グーグルアースで見ても、
その住所は空き地なのだ。
それもそのはずで、
昨年の11月にオープンしたばかりの洋菓子店だ。
そのお店のマドレーヌは滅法美味しい。
上伊那郡の箕輪町から五味さんがいらっしゃった。
素敵なお土産をありがとうございました。
愛機をWRXからレガシィに乗り換えられた。
2.0GT DITの濃密な味と、
思わぬほどジューシーで、
濃い甘さを持つマドレーヌが良く似た雰囲気を漂わせた。
しっかりした甘さを感じさせる。
口に入れて噛み締めると、
この手のお菓子に感じるパサつき感が一切ない。
今度一度訪れてみよう。
本当に有難うございました。
夕方になると、
これまたジューシーな贈り物が届いた。
海老名市にお住いの前田さんは、
22Bオーナーとして最高のスバルライフを楽しむと同時に、
身の回りのクルマを全てスバル一色に揃えている。
彼こそ筋金入りのスバリストだ。
箱を開けた途端に良い匂いが漂った。
ずっしりと重く、
何とも瑞々しい。
ハゲ頭を連想した。
このジューシーさえあれば、
殺伐とした結果を防げるのではないかと思った。
と言うのも、
ドイツでストレスのためか荒れてしまった頭皮が、
徐々に落ち着きを取り戻したからだ。
梨を受け取ってから、
自分の頭を自撮りした。
同じ確度で今朝出勤後にもう一度撮影した。
昨夜よりかなり薄毛に見える。
後頭部側も念のため比較した。
こうして徐々に減っていくのだろう。
儚さが身に染みた。
息子が月曜日に現れ、
オレンジ色のWRXを貸してほしいという。
息子の嫁をレディスラリーに参戦させるので、
一緒に練習しようと声を掛けてあった。
月曜から火曜まで休みが取れたという。
ところがその二日間とも予定が詰まっていた。
そこで息子が手ほどきしたらしいが、
多分全く役に立っていないだろう。
今月中に何とか一度レクチャーしたいが、
なかなか働いていると予定を合わせるのが難しい。
「これあげるよ」と黒い箱を差し出した。
ほう。
話題のシャンプーか。
コンディションも良いので今更シャンプーを使う気にもなれない。
はっと気が付いた。
「お前、これ誰かにもらったのか?」
そう聞くと、
「うん」と言う。
山ほど髪の毛があるので、
このシャンプーでは用を成さないのだろう。
なんだ、
困ったから持ってきたのか。
相変わらず親不孝な奴だ。
誰かにプレゼントしようかな。
箱を空けて中身を見る。
箱を良く見たら2500円と書いてある。
こんな高級品なら誰かにあげたほうが喜ばれるだろう。
そう思って娘に聞いた。
「これ誰かにあげたら喜ばれるかな」
すると、
残酷で非道な娘は、
「あぁ、それこの間もらったハゲのシャンプー?」
「お父さん、使いなよ。剥げてきてるじゃん」
と言ってから、
思い出したように激しく笑い始めた。
「クククク、それ人にあげるってビミョーだね、ククク」
「だってそれをあげると言う事は剥げてるって言っているようなものでしょククククク」
男言葉で挑発する。
母親によく似てきた。
そう言われると、
確かにそうだ。
息子もそういう意味で持ってきたのか。
くそう!
整備してやるのを止めようかと思ったが、
新婚旅行に使いたいという。
リコールやリフレッシュで仕事で手がいっぱいで、
大変な時だったが頑張って仕上げてくれた。
「完成しましたのでテストして下さい」
そう言ったあと、
「タイヤが良くないので気持ちが悪いです」
と報告を受けた。
そこで髪の毛のことは水に流し、
早速走らせ全体の様子を探った。
スタータースイッチを押してエンジンを掛けると、
なかなかスポーティなエキゾーストサウンドを奏でる。
見掛け倒しのマフラーではなく、
しっかりトルクも出ているようだ。
何をカスタマイズしたのか聞いたこともない。
久し振りに走らせて驚いた。
ドイツから帰った時の頭皮のように、
酷くアンバランスな危ないクルマだ。
まずライントレース性がすこぶる悪い。
クルマを唐突に左右へ振るような動き方をする。
杉本君は「タイヤがダメです」と言うが、
問題はそれだけではなさそうだ。
分かり易く言うと、
もしニュルブルクリンクでこのクルマを走らせると、
最悪な場合死んでしまう事になるかもしれない。
このビルシュタインアーチの下を、
全開で駆け抜ける辺りまでは良いだろう。
ところが左に寄ってボトムダウンする辺りまで走ると、
ブレーキを与えた途端に、
前後の車輪が激しくワンダリングし、
路面の起伏でタイヤが激しく踊り始めるはずだ。
接地性も一気に下がり、
命の危険を察知するだろう。
クルマの落ち着きがなくなり恐怖感で青くなるはずだ。
次にグランプリコースの入り口とのゲートに差し掛かる。
左サイドのガードレールと、
左の白線の間にタイヤを入れないと、
次のコーナーにうまく進入できない。
そこを踏もうとして、
車体の左側面をガードレールの鉄板に擦り付けるだろう。
ライントレース性能がとても低いからだ。
何とかそこを切り抜けグランプリコースの入り口を右に曲がり、
いよいよ本格的に緑地獄に入っていったとする。
左ターンすると長い下り坂になる。
そして次々と左右にコーナーが迫る。
そのハッツェンバッハでクラッシュするのが関の山だ。
左側の壁にクルマを張り付けてジ・エンドだ。
そこまでの走行距離はたったの2kmだ。
このBRZはニュルの全周で10分の一しか走る能力を持たない。
昨夜は疲れていたのでそのまま車庫に入れ、
今朝改めてクルマをじっくり観察した。
音はさほどうるさくないし、
出力特性に悪影響はなさそうだ。
タンレザーのインテリアも良い趣味だ。
この頃のクルマでベストチョイスだ。
カスタマイズして問題なことはない。
ステアリングの質感はやはり劣るが、
エンジンルームも小奇麗だ。
ストラットタワーバーに効果があるのか全く不明だ。
その原因が直ぐわかった。
BRZに18インチを履かせても性能上は何の意味も無い。
STIが本気になって、
ヤッと装着できるようになった「みたい」だが、
「STI SPORT」の実現までに5年かかっている。
なぜか。
タイヤとホイールを大径化するには、
想像以上に高い開発費がかかる。
特にBRZは極限まで研ぎ澄まされた性能の、
高度なバランスの上で成り立っている。
一度大きな事故を起こすと、
簡単に直せないのもそこに理由がある。
それに加え、
このクルマには危ない事が山ほどある。
オーバークオリティどころか、
過剰な制動力配分なので効き過ぎておかしくなっている。
バネ下重量もかなり増えているに違いないだろう。
強いブレーキで前後のホイールがバタつくのは、
これらのアンバランスな要因が、
最悪の状態で相乗効果を出している。
悪戯にブレーキパッドを強化するのも良くない。
元々BRZは軽いので、
それほど強烈にローターを攻撃するディスクパッドを必要としない。
それに酷いタイヤがついている。
サイズもブランドも大問題で、
満足な走行性能を引き出すことは無理だ。
ライントレース性能が大幅に低い理由は、
ホイールとタイヤの誤った選択だ。
コンパウンドなど極意までコピーすることは不可能だ。
後輪にはさほど手が入っていないように見えるが、
このディスクパッドもミスマッチだ。
サスペンションはノーマルかもしれない。
このように弄り回すことが面白い事も理解できる。
サーキットで楽しむという「前提」があると、
何でもありに思えるのだろうが、
とても速いスピードで、
終始変わらぬペースを維持できるスキルとセッティングも覚えねばならない。
危険なクルマで走ることは、
決して運転が上手くなることには結びつかない。
と言う事でクルマを取りに来たら説教だな。
終わり