1月に開催された東京オートサロンで、
閉館ぎりぎりまで会場に残った。
東京で二晩目の宿を取ったので、
時間的な余裕があったからだ。
人影まばらな会場から立ち去ろうとした時、
メルセデス・ベンツ日本のブースから、
一人の青年が駆け寄って来た。
「いつもブログを見てます」と、
丁寧なご挨拶を戴いた。
コミュニケーションに関わる部署で活躍されている、
渡邊さんだ。
声をかけていただき有難うございました。
またどこかで必ずお目に掛かれるはずです。
その日を楽しみにしています。
毎年ベンツのブースは人気が高く、
この日も奥まで入る事が出来なかった。
ただ、午前中に前を通過した時、
ひと際印象に残ったクルマがあった。
smart BRABUS cabrio Xclusive limited
車両本体価格 3,270,000円(税込)
マットボディが感性に刺さった。
期間限定販売モデル。
もともとスウォッチカーとして企画されたミニカーで、
日本の軽自動車とあまり変わらない大きさだった。
デビューした時にしばらく乗ったことがある。
興味津々だった。
サンバーを参考にしたと聞き、
欲しくてたまらなかったところに、
スバルが試験車として購入した掘り出し物が出た。
残っている記録を紐解いてみた。
写真が残っていないので残念だが、
黒くてかわいいクルマだった。
ただ性能は酷かった。
前後サイズが違うタイヤは、
後輪が外にはみ出し車体感覚が掴み難かった。
エンジンもうるさく、
プレオの方がクルマとして遥かに優れていた。
でもコンセプトは良かった。
ひょっとしたらスバルもこういうクルマを作りたいんじゃないかなと思った。
スマートは紆余曲折を経て、
スオッチは撤退し、
クルマそのものの存続も危ういと言われた時期もあった。
それが見事に生き残り、
もう一つの面白いクルマと合体した。
平成6年の事だ。
ある事業でマダガスカルに行く途中、
インド洋に浮かぶフランスの海外置県を訪れた。
レ・ユニオン島と呼ばれる火山島だ。
そこにはレンタカーが溢れていた。
短時間の滞在で海を楽しむためには、
自由に乗り回せるクルマが必要だった。
早速エアコンもないイージードライブのレンタカーを借りた。
それが初めて乗ったルノー・トゥインゴだった。
カジュアルに感じさせながら、
実はかなりエレガントなインテリアデザインは、
スバルには絶対できない大人のスパイスを味わわせてくれた。
その二つが合体して、
第三世代のスマートが誕生した。
本来R1/R2もこういう売り方をするクルマだったんだよね。
限定台数を決め、
限定車しか出さない。
今のスバルでは考えられないビジネスだが、
その頃はおそらく狙っていた。
スマートも軽自動車並みのサイズから脱却して、
素晴らしい存在感を見せる。
スバルには絶対にできないマットカラーを当たり前に塗っている。
カブリオレも素敵だ。
屋根を切る勇気がスバルには無い。
トラウマになっているからだ。
どうしてかって?
スバルには安物を売る事しかできない、
人的資源の時代があるからだ。
その点、
流石にベンツは違う。
途中で投げ出すことの方がベンツのブランドイメージを悪くする。
そしてブラバスのブランド力を上手く使った。
誕生したBRABUSのオープン、カブリオ エクスクルーシブ リミテッドを良く見てほしい。
BRABUS専用ターボエンジン
BRABUS仕様6速デュアルクラッチトランスミッション
BRABUSパフォーマンススポーツサスペンション
BRABUS仕様ダイレクトステアリングシステム
BRABUS仕様ESPR(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)
BRABUS “Monoblock IX”8ツインスポークアルミホイール
BRABUSフロントスポイラー
BRABUSエンブレム[フロント、リア]
BRABUSリアスカート
BRABUSスポーツエグゾーストシステム&ツインクロームエグゾーストエンド
BRABUSリアディフューザー[マットグレー]
xClusiveエンブレム[Bピラー部分]
BRABUSスポーツステアリング[ナッパレザー、グレーステッチ入り]
BRABUSエクスクルーシブ本革スポーツシート[前席、グレーステッチ入]
BRABUSエクスクルーシブダッシュボード
BRABUSコックピットクロック&レブカウンター
BRABUSメーターパネル(3.5インチTFTディスプレイ付)
BRABUSシフトノブ[アルミ+本革]
BRABUSパーキングブレーキハンドル[アルミ+本革]
BRABUSベロアマット[BRABUSロゴ入り]
このクオリティ、
STIに実現してほしい事ばかりだ。
室内をモノトーンでまとめるのも悪くない。
だから大いに参考になる。
すぐ飽きる「際物」より、
革の質を高めたほうが価値は高い。
内装はともかく、
マットカラーのオプション化は早急にやるべき優先事項だろう。
ベンツのすぐ隣がダイハツだった。
こちらの期待も高かったので、
早速中に入ると、
まずウエイクが目に留まった。
タントを大ヒットさせ主力車に育て上げたダイハツと、
R2/R1を開発し玄人にしか評価されなかったスバル。
両社には軽自動車の開発手法に、
とても大きな差があった。
そしてダイハツは、
遂にセンターピラーレスのタントを開発し、
他社にできない市場を作り上げた。
だが現在のクルマ社会において、
安全に対するハードルは日増しに高くなるばかりだ。
そこでダイハツは優れたマーケティング能力を最大限に発揮し、
空間利用を最大限に優先したウエイクを完成させた。
その上で、
並行してムーヴをベースにスライドドア化を図り、
ムーヴキャンバスを完成させた。
正直に言って凄いと思った
170cm以上のトールワゴンしか無かったスライドドアの軽自動車に、
見事な風穴を開けたからだ。
これは狙いどおりの大ヒットだろう。
これまでスライドドア車にほとんど興味なかったが、
これは面白いと思った。
ルーフを下げてスライドドア化し、
利便性を高めながら、
側面衝突時における安全性能も引き上げたに違いない。
実はシフォンを扱うようになり、
すこし戸惑いが生じている。(笑)
確かに広くて便利なのだが、
クルマに関わる文化そのものがスバルとダイハツで根本的に違う。
何故ダイハツの軽がヒットを続けるのか良く理解できた。
文化の違いを感じていたが、
今度のムーヴキャンバスはちょっと違う。
これはスバルのクルマ文化にもフィットするはずだ。
以前にも述べた事があると思うので繰り返しになるが、
平成3年頃にスバルの商品懇談会があった時、
そっくりなクルマを提案したことがある。
まだキャンバスに試乗していないが、
直感で良いクルマだと思った。
オートサロンの会場で開発担当者とお目に掛かった。
それは全くの偶然だった。
「このクルマいいなあ」
そう思いながら、
たまたま近くにいたスタッフに、
「なかなかやるじゃないですか。
タントの好調さを維持しながら、
トールワゴンのウエイクを投入して時間を稼ぎましたね。
そして上手くムーブを焼き直して、
衝突安全のレベルを上げた両席スライドドアを投入したのは誠にお見事ですね」
そのような所感を、
少し失礼ではあったが、
単刀直入に述べた。
すると嫌な顔一つせず、
「これ私がやりました」と笑顔でおっしゃった。
紹介したい。
ダイハツ工業のデザイン部門で、
課長を務められている芝垣さんだ。
ショーモデルの若々しい配色も良いが、
見事なツートンカラーに焼き直したデザインが最高に素敵だ。
G“メイクアップ SA Ⅱ”というグレードに注目した。
実は当社でも使っているステラの、
ファイアークォーツレッドメタリック〈R67〉というボディカラーに、
スムースグレーマイカメタリック〈S42〉を掛け合わせたコンビネーションが存在する。
それはそれはスタイリッシュだ。
ルーフを低く抑えたボディラインと凄く良くマッチして、
茅ケ崎の海岸で夕日が似合う最高のスタイルだと思う。
最近の軽自動車は売れてはいるものの、
トールワゴンはどこのクルマも実に貧相だ。
ホンダの形が特に良くない。
可能な限り大きく見せると同時に、
数値的にも負けない努力をし過ぎて「エレガント」には程遠く、
かといってヴィヴィッド感や可愛らしさにも欠ける。
それに対してダイハツは、
タントやウエイクがあるから、
開発に余裕がある。
キャンバスは全ての評価で「優」を取る必要が無い。
限られたレギュレーションの中で全て「優」を狙うと、
一見するとバランスが取れているようで、
実際には気持ちの悪い形のクルマが出来上がる。
ムーブキャンバスは、
これまでに出来上がった「既成のバランス」を、
あえて意図的に崩すことにより、
エレガントでチャーミングなクルマになれたのだ。
横田さんにもお目に掛かれた。
毎回イベントでダイハツブースのトータルコーディネートを担当される、
国内商品部の仕掛人だ。
今回もトールとブーンに加え、
ムーブキャンバスをダイハツ伝統のデトマソ風に仕立ててきた。
横田さんから「やる気になればすぐだぜ」と、
裏バージョンもすぐ作ってしまいそうな余裕を感じた。
横田さんと初めて出会ったのは、
レヴォーグがデビューした時の東京モーターショーだ。
ダイハツブースに行くとコペンがワールドプレミアし、
D-Frameの存在が明らかになった。
横田さんは単刀直入にD-Frameの意味を説明され、
颯爽とその場を去っていった。
凄い人だなと強く印象に残った。
インナーフレームだけで強度を持たせれば、
クルマのデザインなど自由自在だ。
この専用骨格を持つ、
すなわちコペンを持つのがダイハツの強みだ。
この後も育つ事を真剣に願っている。
実はスマートのブラバスを見てR1の姿を夢想しながら、
かつてクオリティを競い合ったコペンを思い出した。
コペンもR1も4気筒エンジンを搭載し、
方や小型車並みのクオリティ、
方や本格的なオープンカーの資質を誇る、
ある意味正当な好敵手だった。
だからコペンを優れたスポーツカーに仕立てる事が、
スバルと協力する事で可能になるかもしれない。
スバルには良いコンパクトカー用のエンジンが無かった。
それがR1を成功に導かなかたった理由だ。
二つのクルマを比べてみよう。
スマートコペンスマートとの差
全長(mm) 2,7853,395610mm長い
全幅(mm) 1,6651,475190mm少ない
全高(mm) 1,5451,280260mm低い
ホイールベース(mm)1,8752,230355mm長い
車両重量(kg) 1,020870 15kg軽い
排気量 897 658 239cc少ない
最高出力(kW/rpm EEC) 80/5750 47/640033kW低い
最大トルク(N・m/rpm EEC)170/2000 92/320078N低い
R1にとって夢だった排気量アップが、
ダイハツにとって何の苦労もなく実現できる。
コペンの骨格を広げトールのターボエンジンを搭載するだけだ。
拡幅を繰り返してきた軽自動車メーカーにとって、
車体のワイド化は決して難しい話ではない。
ベンツも相変わらず凄いが、
これからのダイハツはもっと面白いクルマを出すぞ。
期待したい。
閉館ぎりぎりまで会場に残った。
東京で二晩目の宿を取ったので、
時間的な余裕があったからだ。
人影まばらな会場から立ち去ろうとした時、
メルセデス・ベンツ日本のブースから、
一人の青年が駆け寄って来た。
「いつもブログを見てます」と、
丁寧なご挨拶を戴いた。
コミュニケーションに関わる部署で活躍されている、
渡邊さんだ。
声をかけていただき有難うございました。
またどこかで必ずお目に掛かれるはずです。
その日を楽しみにしています。
毎年ベンツのブースは人気が高く、
この日も奥まで入る事が出来なかった。
ただ、午前中に前を通過した時、
ひと際印象に残ったクルマがあった。
smart BRABUS cabrio Xclusive limited
車両本体価格 3,270,000円(税込)
マットボディが感性に刺さった。
期間限定販売モデル。
もともとスウォッチカーとして企画されたミニカーで、
日本の軽自動車とあまり変わらない大きさだった。
デビューした時にしばらく乗ったことがある。
興味津々だった。
サンバーを参考にしたと聞き、
欲しくてたまらなかったところに、
スバルが試験車として購入した掘り出し物が出た。
残っている記録を紐解いてみた。
写真が残っていないので残念だが、
黒くてかわいいクルマだった。
ただ性能は酷かった。
前後サイズが違うタイヤは、
後輪が外にはみ出し車体感覚が掴み難かった。
エンジンもうるさく、
プレオの方がクルマとして遥かに優れていた。
でもコンセプトは良かった。
ひょっとしたらスバルもこういうクルマを作りたいんじゃないかなと思った。
スマートは紆余曲折を経て、
スオッチは撤退し、
クルマそのものの存続も危ういと言われた時期もあった。
それが見事に生き残り、
もう一つの面白いクルマと合体した。
平成6年の事だ。
ある事業でマダガスカルに行く途中、
インド洋に浮かぶフランスの海外置県を訪れた。
レ・ユニオン島と呼ばれる火山島だ。
そこにはレンタカーが溢れていた。
短時間の滞在で海を楽しむためには、
自由に乗り回せるクルマが必要だった。
早速エアコンもないイージードライブのレンタカーを借りた。
それが初めて乗ったルノー・トゥインゴだった。
カジュアルに感じさせながら、
実はかなりエレガントなインテリアデザインは、
スバルには絶対できない大人のスパイスを味わわせてくれた。
その二つが合体して、
第三世代のスマートが誕生した。
本来R1/R2もこういう売り方をするクルマだったんだよね。
限定台数を決め、
限定車しか出さない。
今のスバルでは考えられないビジネスだが、
その頃はおそらく狙っていた。
スマートも軽自動車並みのサイズから脱却して、
素晴らしい存在感を見せる。
スバルには絶対にできないマットカラーを当たり前に塗っている。
カブリオレも素敵だ。
屋根を切る勇気がスバルには無い。
トラウマになっているからだ。
どうしてかって?
スバルには安物を売る事しかできない、
人的資源の時代があるからだ。
その点、
流石にベンツは違う。
途中で投げ出すことの方がベンツのブランドイメージを悪くする。
そしてブラバスのブランド力を上手く使った。
誕生したBRABUSのオープン、カブリオ エクスクルーシブ リミテッドを良く見てほしい。
BRABUS専用ターボエンジン
BRABUS仕様6速デュアルクラッチトランスミッション
BRABUSパフォーマンススポーツサスペンション
BRABUS仕様ダイレクトステアリングシステム
BRABUS仕様ESPR(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)
BRABUS “Monoblock IX”8ツインスポークアルミホイール
BRABUSフロントスポイラー
BRABUSエンブレム[フロント、リア]
BRABUSリアスカート
BRABUSスポーツエグゾーストシステム&ツインクロームエグゾーストエンド
BRABUSリアディフューザー[マットグレー]
xClusiveエンブレム[Bピラー部分]
BRABUSスポーツステアリング[ナッパレザー、グレーステッチ入り]
BRABUSエクスクルーシブ本革スポーツシート[前席、グレーステッチ入]
BRABUSエクスクルーシブダッシュボード
BRABUSコックピットクロック&レブカウンター
BRABUSメーターパネル(3.5インチTFTディスプレイ付)
BRABUSシフトノブ[アルミ+本革]
BRABUSパーキングブレーキハンドル[アルミ+本革]
BRABUSベロアマット[BRABUSロゴ入り]
このクオリティ、
STIに実現してほしい事ばかりだ。
室内をモノトーンでまとめるのも悪くない。
だから大いに参考になる。
すぐ飽きる「際物」より、
革の質を高めたほうが価値は高い。
内装はともかく、
マットカラーのオプション化は早急にやるべき優先事項だろう。
ベンツのすぐ隣がダイハツだった。
こちらの期待も高かったので、
早速中に入ると、
まずウエイクが目に留まった。
タントを大ヒットさせ主力車に育て上げたダイハツと、
R2/R1を開発し玄人にしか評価されなかったスバル。
両社には軽自動車の開発手法に、
とても大きな差があった。
そしてダイハツは、
遂にセンターピラーレスのタントを開発し、
他社にできない市場を作り上げた。
だが現在のクルマ社会において、
安全に対するハードルは日増しに高くなるばかりだ。
そこでダイハツは優れたマーケティング能力を最大限に発揮し、
空間利用を最大限に優先したウエイクを完成させた。
その上で、
並行してムーヴをベースにスライドドア化を図り、
ムーヴキャンバスを完成させた。
正直に言って凄いと思った
170cm以上のトールワゴンしか無かったスライドドアの軽自動車に、
見事な風穴を開けたからだ。
これは狙いどおりの大ヒットだろう。
これまでスライドドア車にほとんど興味なかったが、
これは面白いと思った。
ルーフを下げてスライドドア化し、
利便性を高めながら、
側面衝突時における安全性能も引き上げたに違いない。
実はシフォンを扱うようになり、
すこし戸惑いが生じている。(笑)
確かに広くて便利なのだが、
クルマに関わる文化そのものがスバルとダイハツで根本的に違う。
何故ダイハツの軽がヒットを続けるのか良く理解できた。
文化の違いを感じていたが、
今度のムーヴキャンバスはちょっと違う。
これはスバルのクルマ文化にもフィットするはずだ。
以前にも述べた事があると思うので繰り返しになるが、
平成3年頃にスバルの商品懇談会があった時、
そっくりなクルマを提案したことがある。
まだキャンバスに試乗していないが、
直感で良いクルマだと思った。
オートサロンの会場で開発担当者とお目に掛かった。
それは全くの偶然だった。
「このクルマいいなあ」
そう思いながら、
たまたま近くにいたスタッフに、
「なかなかやるじゃないですか。
タントの好調さを維持しながら、
トールワゴンのウエイクを投入して時間を稼ぎましたね。
そして上手くムーブを焼き直して、
衝突安全のレベルを上げた両席スライドドアを投入したのは誠にお見事ですね」
そのような所感を、
少し失礼ではあったが、
単刀直入に述べた。
すると嫌な顔一つせず、
「これ私がやりました」と笑顔でおっしゃった。
紹介したい。
ダイハツ工業のデザイン部門で、
課長を務められている芝垣さんだ。
ショーモデルの若々しい配色も良いが、
見事なツートンカラーに焼き直したデザインが最高に素敵だ。
G“メイクアップ SA Ⅱ”というグレードに注目した。
実は当社でも使っているステラの、
ファイアークォーツレッドメタリック〈R67〉というボディカラーに、
スムースグレーマイカメタリック〈S42〉を掛け合わせたコンビネーションが存在する。
それはそれはスタイリッシュだ。
ルーフを低く抑えたボディラインと凄く良くマッチして、
茅ケ崎の海岸で夕日が似合う最高のスタイルだと思う。
最近の軽自動車は売れてはいるものの、
トールワゴンはどこのクルマも実に貧相だ。
ホンダの形が特に良くない。
可能な限り大きく見せると同時に、
数値的にも負けない努力をし過ぎて「エレガント」には程遠く、
かといってヴィヴィッド感や可愛らしさにも欠ける。
それに対してダイハツは、
タントやウエイクがあるから、
開発に余裕がある。
キャンバスは全ての評価で「優」を取る必要が無い。
限られたレギュレーションの中で全て「優」を狙うと、
一見するとバランスが取れているようで、
実際には気持ちの悪い形のクルマが出来上がる。
ムーブキャンバスは、
これまでに出来上がった「既成のバランス」を、
あえて意図的に崩すことにより、
エレガントでチャーミングなクルマになれたのだ。
横田さんにもお目に掛かれた。
毎回イベントでダイハツブースのトータルコーディネートを担当される、
国内商品部の仕掛人だ。
今回もトールとブーンに加え、
ムーブキャンバスをダイハツ伝統のデトマソ風に仕立ててきた。
横田さんから「やる気になればすぐだぜ」と、
裏バージョンもすぐ作ってしまいそうな余裕を感じた。
横田さんと初めて出会ったのは、
レヴォーグがデビューした時の東京モーターショーだ。
ダイハツブースに行くとコペンがワールドプレミアし、
D-Frameの存在が明らかになった。
横田さんは単刀直入にD-Frameの意味を説明され、
颯爽とその場を去っていった。
凄い人だなと強く印象に残った。
インナーフレームだけで強度を持たせれば、
クルマのデザインなど自由自在だ。
この専用骨格を持つ、
すなわちコペンを持つのがダイハツの強みだ。
この後も育つ事を真剣に願っている。
実はスマートのブラバスを見てR1の姿を夢想しながら、
かつてクオリティを競い合ったコペンを思い出した。
コペンもR1も4気筒エンジンを搭載し、
方や小型車並みのクオリティ、
方や本格的なオープンカーの資質を誇る、
ある意味正当な好敵手だった。
だからコペンを優れたスポーツカーに仕立てる事が、
スバルと協力する事で可能になるかもしれない。
スバルには良いコンパクトカー用のエンジンが無かった。
それがR1を成功に導かなかたった理由だ。
二つのクルマを比べてみよう。
スマートコペンスマートとの差
全長(mm) 2,7853,395610mm長い
全幅(mm) 1,6651,475190mm少ない
全高(mm) 1,5451,280260mm低い
ホイールベース(mm)1,8752,230355mm長い
車両重量(kg) 1,020870 15kg軽い
排気量 897 658 239cc少ない
最高出力(kW/rpm EEC) 80/5750 47/640033kW低い
最大トルク(N・m/rpm EEC)170/2000 92/320078N低い
R1にとって夢だった排気量アップが、
ダイハツにとって何の苦労もなく実現できる。
コペンの骨格を広げトールのターボエンジンを搭載するだけだ。
拡幅を繰り返してきた軽自動車メーカーにとって、
車体のワイド化は決して難しい話ではない。
ベンツも相変わらず凄いが、
これからのダイハツはもっと面白いクルマを出すぞ。
期待したい。