何事にも順序がある。
2011年の11月、
すっかり整った望桜荘の前で、
妻が記念写真を撮ってくれた。
所詮「枯山水」を気取ったところで、
人間は潤いが欲しくなるものだ。
3年ほど経った一昨年の春、
望桜荘の庭で芝桜が暴走を始めた。
あちこちに増えて、
樹木の根元にへばりつき、
一部を取らざるを得なくなった。
前の年の冬に株分けした苗も順調に育っていた。
望桜荘の庭は、
まさしくマザープラントだ。
そこで芽生えた植物は、
かなり生命力が強い。
はぎ取った芝桜を、
望桜荘の前庭に移植した。
植えてみたらなかなか良かったので、
思い切ってこの庭一面を花畑にすると決め、
等間隔に株分けした苗を移植した。
それが今年も満開になった。
下の画像はおととしの4月27日に写した様子なので、
今日で丸二年になる。
偶然と言うのは面白い。
写真の日付を見て初めて気が付いた。
この時、
建物に沿って敷石して、
雨水が砂を跳ねるのを防いだ。
芝桜の繁殖域に縁を切るのも兼ねた。
なかなか計算通りには行かないけれど、
自然の力で環境を整えると、
新たな喜びが生まれる。
二年前に移植が終わった直後と、
その僅か二か月後の写真を比べると、
植物が根をしっかり落ち着かせる様子も分かる。
このようにして、
二年後の庭先は見事に潤った。
こんなに手がかかるけれど、
皆の力を合わせればスムーズに進む。
自分の手で前へ進めると、
本当に楽ししものだ。
駐車場の一角も荒れていたので、
同様の手順で環境を整えた。
まず花壇を作る。
次に株分けした苗を作る。
土を掘り起こし、
砕石をろ過したら堆肥と混ぜ合わせる。
そして最後に芝桜を植える。
乾燥する日は水を与え続けた。
面白いことに、
手入れし無くても野芝が増え始め、
駐車場に敷いた砕石の間をつなぐように埋めていく。
自然の舗装材として機能し始めた。
きちんと縁を切り、
花壇に芝桜を植えた。
2年経つとこれほど変わる。
少し撮影した角度が上下で異なる。
上端の円柱ブロックが駐車場との境目だ。
このように手を掛ける仕事が面白い。
くどいようだが、
クルマを本気で楽しむならに乗るなら、
マニュアルシフトに敵うものはない。
それが解る人が少なくなった理由は簡単だ。
もっと楽で扱い易いものが増えた?
いや、それは違う。
子供のころから親しんでいないからだ。
マニュアルが売れないから作らないとスバルは言う。
だから意地でも増やしたい。
かといって意地で増えるモノでもない。
すると答えは簡単だ。
芝桜を増やすように、
ゆっくり手順を考えて、
水が高い方から低い方へ流れるがの如く、
同志たちを増やせばよい。
きっかけはガールズ&パンツァーだった。
「戦車道」という荒唐無稽なものを引っ提げて、
彗星のごとく現れたアニメーションだった。
こいつは面白い。
見れば見るほど楽しかった。
ある日、
まるで主人公たちがⅣ号戦車を見つけた時のような、
衝撃を感じるクルマを見つけた。
そのスバルには、
ドイツに居る問題児のロゴが付いていたが、
逆にその洒落っ気が堪らなかった。
クルマは心も体もボロボロで、
可愛がられた様子をまるで感じさせない。
エンジンはかからないし、
あちこちガタガタだった。
何とか連れ帰り、
エンジンを掛けた。
その病気は深刻だった。
ぜいぜいと息を荒立てていた。
しかし幸いなことにサウンドに張りがあった。
「ワタシはまだいける」と心の声が聞こえるようだった。
「MTに乗る人の分母が少ないから作らない」というスバルに、
少しでも作ってやろうと思わせるためには、
新車のMTをいくら用意してもダメだ。
苦労してストーリーから作らないと、
誰の心にも響かない。
彼ら自身にも、
MTの良さを思い出させないと、
絶対に今後もMTは減る一方だろう。
昨年の秋、スバル360を運転した吉永社長は、
きっとその時楽しくて仕方なかったはずだ。
それを見たスバルの社員は何を思ったか。
乗りたいと思ったに違いない。
この可哀そうなサンバーを、
中津スバルの得意とする技術で蘇らせれば、
同じように社員と一体感を燻蒸できる。
「とにかく全てやれることをやろう」
スタートの言葉はこれだけだ。
まずエンジンのヘッドカバーをめくった。
酷い状態だ。
スラッジがこびりつき、
明らかにエンジンオイルをあまり交換していない。
クランクのベアリングから異音が無いので、
搭載したまま修理が可能か、
シリンダーヘッドを外して判断することにした。
ピストンの状態がシリンダー毎にばらばらで、
特に一番右側がひどい。
この結果を見て、
中途半端な修理をしても、
無駄になるだけだと結論付けた。
シリンダーヘッドから分解すると、
幸いなことにバルブなどに損傷の無い事がわかった。
酷い汚れがエンジン不調の原因で、
バルブ周りがコテコテにカーボンで固まっていた。
このバルブシールの劣化が、
オイル下がりを引き起こしていた。
燃焼室側から見ると、
カーボン固着状態の酷さが一段と良く解る。
バルブの裏側に堆積したカーボンが固着し、
プラグホールまで続いている。
同じようにピストンヘッドも真っ黒だ。
軽自動車は普通車に比べると、
ただでさえエンジンオイルの容量が少ない。
だから定期交換が大切だ。
交換しないで量さえあれば大丈夫だと、
そのまま継ぎ足して走ったりすると、
一気にエンジン内部のコンディションが悪くなる。
中津スバルでは、
サンバーのエンジンオイルは、
3000km毎に交換されることを推奨する。
百聞は一見にしかず。
真っ黒のヘッドカバーを綺麗に清掃し、
シリンダーヘッドも徐々に手作業で綺麗になった。
根気がいる仕事だ。
でも北原課長にとって、
ゴールの見える仕事は楽しくて仕方がないようだ。
ピストンもコネクティングロッドも再生した。
そしてもう一つの問題がピストンリングだ。
劣化してオイル上がりを誘発したため、
激しい白煙を噴き出す一因となっていた。
それと合わせて、
クランクのメタルを新品に交換した。
ここまでしておけば安心だ。
細部を点検しピストンを、
シリンダーブロックに戻した。
次に清掃の終わったシリンダーヘッドに、
カムシャフトやバルブを組み付けた。
バルブガイドも全て新品に交換した。
すっかり元通りの美しい姿に戻ったエンジンに、
レ・プレイヤードゼロを注入する。
ボクサーエンジンのために作ったオイルが、
サンバーの直列4気筒とびっくりするほど相性が良い。
それにルテニウムプラグを装着し、
車体に搭載した。
その後、
念入りに車検整備を施し、
いよいよナンバー登録に取り掛かった。
ここから大宮の仕事が始まった。
もとは軽自動車と言えども、
バンパーで全長が伸ばされている。
抹消謄本は軽自動車のままだったので、
改造申請する必要がある。
それに車庫証明も取らなければならない。
準備が整ったので、
検査のためのラインに入る。
まず寸法や重量を計る。
それにしても愛嬌のある顔をしている。
「ワタシどうなるの」とビクビクしているようだ。
次に下回りの検査を受けたら、
各種テスターで安全上問題が無いか徹底的に調べられる。
無事すべての検査に合格し、
書類上は登録が終わった。
ナンバーを取り付けると、
何となく落ち着いたように見えた。
黄色じゃないので清楚に感じる。
遂に最後の関門を通る。
封印検査だ。
パンツの中まで覗かれて(笑)、
車体番号を実車と照合した。
間違いないと確認されたので、
パチンとナンバーに封印をはめ込まれた。
Ⅳ号戦車の誕生だ。
大宮君、ご苦労様でした。
めでたく4番を付けたKV3は、
ドライブエクスペリエ(DE)の、
入門編用レクチャーカーとして生まれ変わった。
そして井奈波さんが、
完成したガルパン号にとって、
最初の「手道」体験者となった。
彼はすでにDEの経験者だが、
サンバーそのものにも興味があり、
受講を希望された。
KV3は瀕死の状態だったのがウソのように好調で、
軽快な音を立てて走る。
正にもっとも原始的な自動車だ。
ノーズの無いボディは、
車体感覚が掴みやすく、
「手道」の入門にはピッタリだ。
まず自分の好きなように走らせてもらう。
理屈より動かすことに神経を集中させる。
↓
動画
しばらく走って、
様子を見た後、客観的なポイントを指摘した。
ステアリングワークだ。
最近のクルマには、
パワーステアリングが標準装備だ。
ガルパンにパワステなど無い!
従ってその手応えに驚愕した。
思うように言う事を聞かない。
簡単に言う事を聞かないから楽しい(笑)
数回ステアリングをロックツーロックまで回転させると、
それだけで汗だくになった。
いつもいい加減にステアリングを切っていることを自覚するだけで、
クルマ好きにとって底知れない収穫があるはずだ。
レクチャーが終わり、
KV3は仲間の所に戻った。
パワステが無いと乗れないという受講希望者には、
10-11号がお相手できるよう控えている。
初レクチャーを終えたKV3をもう一度点検した。
井奈波さん、
広げたヒビは無事に塞がった。
だから安心してくださいね。(笑)
GW中もガルパンKV3は、
いつでもスタンバイしている。
見学に来場される方も、
ぜひ参加してください。
2011年の11月、
すっかり整った望桜荘の前で、
妻が記念写真を撮ってくれた。
所詮「枯山水」を気取ったところで、
人間は潤いが欲しくなるものだ。
3年ほど経った一昨年の春、
望桜荘の庭で芝桜が暴走を始めた。
あちこちに増えて、
樹木の根元にへばりつき、
一部を取らざるを得なくなった。
前の年の冬に株分けした苗も順調に育っていた。
望桜荘の庭は、
まさしくマザープラントだ。
そこで芽生えた植物は、
かなり生命力が強い。
はぎ取った芝桜を、
望桜荘の前庭に移植した。
思い切ってこの庭一面を花畑にすると決め、
等間隔に株分けした苗を移植した。
下の画像はおととしの4月27日に写した様子なので、
今日で丸二年になる。
偶然と言うのは面白い。
写真の日付を見て初めて気が付いた。
建物に沿って敷石して、
雨水が砂を跳ねるのを防いだ。
芝桜の繁殖域に縁を切るのも兼ねた。
自然の力で環境を整えると、
新たな喜びが生まれる。
植物が根をしっかり落ち着かせる様子も分かる。
このようにして、
二年後の庭先は見事に潤った。
皆の力を合わせればスムーズに進む。
自分の手で前へ進めると、
本当に楽ししものだ。
駐車場の一角も荒れていたので、
同様の手順で環境を整えた。
まず花壇を作る。
次に株分けした苗を作る。
土を掘り起こし、
砕石をろ過したら堆肥と混ぜ合わせる。
そして最後に芝桜を植える。
乾燥する日は水を与え続けた。
手入れし無くても野芝が増え始め、
駐車場に敷いた砕石の間をつなぐように埋めていく。
自然の舗装材として機能し始めた。
花壇に芝桜を植えた。
2年経つとこれほど変わる。
上端の円柱ブロックが駐車場との境目だ。
このように手を掛ける仕事が面白い。
くどいようだが、
クルマを本気で楽しむならに乗るなら、
マニュアルシフトに敵うものはない。
それが解る人が少なくなった理由は簡単だ。
もっと楽で扱い易いものが増えた?
いや、それは違う。
子供のころから親しんでいないからだ。
マニュアルが売れないから作らないとスバルは言う。
だから意地でも増やしたい。
かといって意地で増えるモノでもない。
すると答えは簡単だ。
芝桜を増やすように、
ゆっくり手順を考えて、
水が高い方から低い方へ流れるがの如く、
同志たちを増やせばよい。
きっかけはガールズ&パンツァーだった。
「戦車道」という荒唐無稽なものを引っ提げて、
彗星のごとく現れたアニメーションだった。
こいつは面白い。
見れば見るほど楽しかった。
ある日、
まるで主人公たちがⅣ号戦車を見つけた時のような、
衝撃を感じるクルマを見つけた。
そのスバルには、
ドイツに居る問題児のロゴが付いていたが、
逆にその洒落っ気が堪らなかった。
クルマは心も体もボロボロで、
可愛がられた様子をまるで感じさせない。
エンジンはかからないし、
あちこちガタガタだった。
何とか連れ帰り、
エンジンを掛けた。
その病気は深刻だった。
ぜいぜいと息を荒立てていた。
「ワタシはまだいける」と心の声が聞こえるようだった。
「MTに乗る人の分母が少ないから作らない」というスバルに、
少しでも作ってやろうと思わせるためには、
新車のMTをいくら用意してもダメだ。
苦労してストーリーから作らないと、
誰の心にも響かない。
彼ら自身にも、
MTの良さを思い出させないと、
絶対に今後もMTは減る一方だろう。
昨年の秋、スバル360を運転した吉永社長は、
きっとその時楽しくて仕方なかったはずだ。
それを見たスバルの社員は何を思ったか。
乗りたいと思ったに違いない。
この可哀そうなサンバーを、
中津スバルの得意とする技術で蘇らせれば、
同じように社員と一体感を燻蒸できる。
「とにかく全てやれることをやろう」
スタートの言葉はこれだけだ。
まずエンジンのヘッドカバーをめくった。
スラッジがこびりつき、
明らかにエンジンオイルをあまり交換していない。
クランクのベアリングから異音が無いので、
搭載したまま修理が可能か、
シリンダーヘッドを外して判断することにした。
特に一番右側がひどい。
この結果を見て、
中途半端な修理をしても、
無駄になるだけだと結論付けた。
幸いなことにバルブなどに損傷の無い事がわかった。
酷い汚れがエンジン不調の原因で、
バルブ周りがコテコテにカーボンで固まっていた。
オイル下がりを引き起こしていた。
燃焼室側から見ると、
カーボン固着状態の酷さが一段と良く解る。
バルブの裏側に堆積したカーボンが固着し、
プラグホールまで続いている。
ただでさえエンジンオイルの容量が少ない。
だから定期交換が大切だ。
交換しないで量さえあれば大丈夫だと、
そのまま継ぎ足して走ったりすると、
一気にエンジン内部のコンディションが悪くなる。
中津スバルでは、
サンバーのエンジンオイルは、
3000km毎に交換されることを推奨する。
真っ黒のヘッドカバーを綺麗に清掃し、
でも北原課長にとって、
ゴールの見える仕事は楽しくて仕方がないようだ。
そしてもう一つの問題がピストンリングだ。
劣化してオイル上がりを誘発したため、
激しい白煙を噴き出す一因となっていた。
それと合わせて、
クランクのメタルを新品に交換した。
細部を点検しピストンを、
シリンダーブロックに戻した。
カムシャフトやバルブを組み付けた。
すっかり元通りの美しい姿に戻ったエンジンに、
レ・プレイヤードゼロを注入する。
ボクサーエンジンのために作ったオイルが、
サンバーの直列4気筒とびっくりするほど相性が良い。
それにルテニウムプラグを装着し、
車体に搭載した。
念入りに車検整備を施し、
いよいよナンバー登録に取り掛かった。
ここから大宮の仕事が始まった。
バンパーで全長が伸ばされている。
抹消謄本は軽自動車のままだったので、
改造申請する必要がある。
それに車庫証明も取らなければならない。
準備が整ったので、
検査のためのラインに入る。
それにしても愛嬌のある顔をしている。
次に下回りの検査を受けたら、
無事すべての検査に合格し、
書類上は登録が終わった。
何となく落ち着いたように見えた。
黄色じゃないので清楚に感じる。
遂に最後の関門を通る。
パンツの中まで覗かれて(笑)、
車体番号を実車と照合した。
間違いないと確認されたので、
パチンとナンバーに封印をはめ込まれた。
Ⅳ号戦車の誕生だ。
めでたく4番を付けたKV3は、
ドライブエクスペリエ(DE)の、
入門編用レクチャーカーとして生まれ変わった。
そして井奈波さんが、
完成したガルパン号にとって、
最初の「手道」体験者となった。
サンバーそのものにも興味があり、
受講を希望された。
KV3は瀕死の状態だったのがウソのように好調で、
軽快な音を立てて走る。
正にもっとも原始的な自動車だ。
ノーズの無いボディは、
車体感覚が掴みやすく、
「手道」の入門にはピッタリだ。
理屈より動かすことに神経を集中させる。
↓
動画
しばらく走って、
様子を見た後、客観的なポイントを指摘した。
ステアリングワークだ。
最近のクルマには、
パワーステアリングが標準装備だ。
ガルパンにパワステなど無い!
従ってその手応えに驚愕した。
思うように言う事を聞かない。
数回ステアリングをロックツーロックまで回転させると、
それだけで汗だくになった。
クルマ好きにとって底知れない収穫があるはずだ。
KV3は仲間の所に戻った。
パワステが無いと乗れないという受講希望者には、
10-11号がお相手できるよう控えている。
井奈波さん、
広げたヒビは無事に塞がった。
だから安心してくださいね。(笑)
GW中もガルパンKV3は、
いつでもスタンバイしている。
見学に来場される方も、
ぜひ参加してください。