8年前の夏に遡る。
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STIから2007を拝借した。初めて乗った時、
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その完成度に驚いた。
カチッとして重厚感があるのに、その走りはしなやかで瑞々しかった。
いつも山形から届くお土産の味に似ていた。
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芋羊羹だ。
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いつも平方さんから頂く大好物は、まるで裃を纏ったようだ。
セロファンでピシッと長方形に包まれ、それを解いても奇麗な形が崩れない。
そっと囓ると、前歯に柔らかくて確かな歯応えを感じる。べたつかずサッパリした味なのに、濃い甘さが口の中に広がる。
あの時レガシィに、その姿に通じる純粋で豊潤な味を感じた。
平方さんに来て戴いたが、ゆっくり話す時間が無かった。
午後からDEの予約が入っていた。
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現在オートマチックの走行体験車はアウトバックだけだ。レガシィもここまで昇華した。快適性や安全性は比較にならないほど向上した。9年の月日を改めて感じる。
最新のレガシィは、これまでよりひとクラス上のクルマに育った。
従って高級車のカテゴリーまで購入ターゲットに出来る。
一つ前のレガシィは、米国生産車と国内生産車を作り分け、車幅をそれぞれの国に合わせて変えていた。
過渡期のクルマ造りで大変な時期だったが、大きくても安全なクルマを選ぶお客様に喜ばれた。
結果的にレガシィらしい成功を収めたクルマとなった。
しかしSTIがコンプリート化するクルマとしては、そのコンセプトに大きな変化があったことから、相応しくない方へと進んでいくことになる。
そういう事情もあり4代目レガシィのSTIコンプリートは、異常なほど高値が続き、中古車の実態とかけ離れた相場を形成してしまった。
ようやくその虚像が崩れる日を迎えた。
榊原さんからお土産を戴いた。
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海老煎餅の味がとても良かった。
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常識を覆す味付けを施した赤車エビだった。
もう一つは、入れ物ごと食べらるユニークな海鮮煎餅だった。
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ありがとうございました。
開田から訃報が届いたのはその直後だった。すぐ向かったので、それ以降のDEに対応出来なくなった。
この場を借りてお詫びいたします。
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この一年間でR1から始まりスポーツハイブリッドまで、二人で数え切れないほどシャッターを切った。ブログに沢山の想い出が残っている。コナラプロジェクトについて、
木曽町の町長とお会いする事になった。これから募金をどう使うのか決める。
慌ただしい日が続いたけれど、ようやくいつものペースを取り戻した。
心配して戴いた皆様に、
この場で改めて御礼申し上げます。
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神奈川からいらっしゃった岡田さん。お土産をありがとうございました。
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群馬の前田さん、お土産をありがとうございました。
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一宮の永島さん、お土産をありがとうございました。
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岐阜の棚橋さん、お土産をありがとうございました。
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くにゃオールさんから支援物資が届いた。
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沢山の「元気」をありがとうございました。
皆さんから沢山の元気を戴き、「S4」のレポートをまとめる原動力になった。
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そもそも「WRX S4」とは何か。スバルインプレッサWRXの遺伝子を受け継ぎ、世界の舞台で際立つ本物のスポーツセダンだ。
でも決して特別な車では無い。ラリーの遺伝子をそのまま引き継ぐクルマなら、マニュアルシフトの「STI」がある。
スバルは「S4」を別のブランドに育成中だ。「S4」なら普通の人でも楽しく扱える。
腕に自信のある人も落胆させない。スポーツカーを超える性能を引き出せるからだ。
こう書くのは簡単だが、その説明は難しい。
簡単に言うと「S4」は「満足度の幅」が過去最大だ。
特にその中でも、今回追加された「幅広タイヤ仕様」は、その能力を強烈に際立たせた。
優れたセダンの資質は何か。
まず乗り降りが容易に出来る事だ。
次にオトナが4人ゆったりと座れることだ。
そのために余裕のあるレッグスペースや頭上高が必要になる。シートの座り心地も大切だ。
荷物を入れるトランクも、出来るだけ大きい方が良い。
それを確かめるために、実際にオトナが4人乗り、「S4」を走らせた。
しかも家族で旅するシチュエーションとしては、最も苛酷な条件の下だった。
STIなら一人で試しても良いが、「S4」の実力を語るには4人乗車が不可欠だ。
いよいよ結果をまとめる。
御嶽ロープウエイの駅まで一気に駆け上がった。
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これには特別な名前が付いていない。
でも、乗れば解る。明らかに新しいグレードだ。そう思うとムズムズしてきた。
価格表に記された味気ない「ハイパフォーマンスタイヤ付」という表現だけでは、完全にASPの影に隠れてしまう。
相変わらずカタログには2つのグレードしか無い。「S4」にアイサイトは標準装備だ。だから回りくどく表示する必要もないので、勝手にグレードを与えてしまった。それくらい別次元のクルマだ。
これまでの2.0GT EyeSightは、単純に2.0GTで良い。
2.0GT-S EyeSightは、簡潔に2.0GT-Sで良い。
そしてハイパフォーマンスタイヤ付を、2.0GT-S EyeSightと呼ぶのは不条理だ。
あえて2.0GT「type-E」と名付けたい。Eは欧州を指す。追加されたS4は、欧州のプレミアムスポーツに匹敵するサスチューンを与えられた。
「TypeーE」に大型リヤスポイラーは不要だ。アメリカンな外観より、論理的な方が好ましい。
唯一の願いは、インテリアのレッドステッチを、例えコストアップの要因になろうとも、グリーンステッチにして欲しい。
現在タンカラーと組み合わせているステッチで十分だ。たったそれだけで「2.0GT Type-E」が成り立つ。
それほど、
このシャシーの完成度は高い。
今後このブログで説明する場合に限り、他のS4と混同しないよう勝手に「Type-E」と表記する。
FHIの高津さん、ここは是非笑って許して欲しい。
これほどお見事なクルマだと、高い所に登るのが楽しくて仕方がない。
実に気分が良いので、更に勢いが付き、自分の脚で行ける所まで行きたくなった。
これが「モチベーション」だ。
もし気分が落ち込んだら、良いクルマで高い所に行こう。
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久しぶりにロープウエイに乗った。
これなら安全に御嶽山の様子を間近で見れる。
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山頂に着くと、以前と変わらぬ風景だったが、所々に火山灰が目立った。
この日はてっぺんから噴気もジャンジャン出ていた。
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終点の先にある山小屋まで行き、
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皆で御嶽の神様に手を合わせた。
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この日は絶景だった。乗鞍岳の右側に槍ヶ岳が見えた。
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年配の人達も眺望を楽しんでいた。少しくらい足腰が衰えても、クルマがあればこんなに澄んだ空気が味わえる。
幻の滝を教えると、
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とても喜んで戴けた。携帯電話のカメラ機能がよく解らないそうで、妻が使い方をアドバイスしていた。スマホの機能を使いこなせないので、その気持ちが良く解る。
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この双眼鏡を使うと滝が一番良く見える。カメラのズームレンズでは、流れる落ちる水しぶきが見えない。100円入れて滝を見ると、
とんでもない量の水に驚いた。
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豪快な火山だ。あれほどの高所になぜ大量の水源があるのか。
腹が減った。家族の意見は開田の蕎麦で一致した。
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木曽馬の里まで一気に駆け下りた。
ここでスバルの取り組むブランディングの確かさに感心した。これまで「ふらついた」商品企画が目立ったが、発表以来「S4」には一本の芯を感じる。
スバルは平気でSTIと混同するネーミングを与えてきた。今は「S4ブランド」を確立させる意気込みが生まれた。
以前から「S4」を正しくブランディングする為に、次の掟が必要だと考えている。まず、1.6リットルダウンサイジングターボは禁忌だ。直噴ターボなら何でも良いわけでは無い。400N・m以上の最大トルクを持たせる事が大切だ。
それに優れた4WDシステムを組み合わせ、老若男女でもさりげなく乗りこなせる「風情」が必要だ。
次に、スバルのスポーツブランドは、価格を必ず300万円台に留める事だ。
「S4」をそのように育てれば、「G4」と「B4」の存在も徐々に際立つ。
400万円を超えるブランドは「STI」に任せるという、次の道も開けてくる。
逆にSTIコンプリートが400万円を切るようでは、腰の引けたクルマしか出せない。
理由は簡単だ。335万円の「Type-E」は、メーカーラインを出荷した状態で、既にSTIコンプリートの資質を持った。
冒頭で4代目レガシィの、Tunede by STI 2007に触れたのも、それと「S4」の近似性を見たからだ。
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STIの歴史に残るコンプリートカーを振り返る。【車名】
LEGACY B4 2.0GT spec.Btuned by STI 2007MODEL
【型式】
CBA-BL5
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4635×1730×1425ホイールベース(mm):2670トレッド前/後(mm):1490/1495最低地上高(㎜):150車両重量(kg):1480最小回転半径(m):5.4乗車定員 5名
【エンジン】EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブデュアルAVCSツインスクロールターボ内径×行程(mm):92.0×75.0圧縮比:9.4最高出力:191kw(260ps)/6000rpm最大トルク:343N・m(35.0kg・m)/2000rpm
【燃料供給装置】EGI
【変速機】スポーツリスポーツシフトE-5AT
【燃費】表記無し(JC08モード)
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【標準装備】STIチューニングビルシュタインダンパー&コイルスプリングブレンボ製ブレーキSTIピロボールブッシュ式リヤサスペンション専用チューニングECU&TCUSTIスポーツマフラー225/40R18ポテンザRE050A&STIアルミホイールSTIフレキシブルタワーバーSTIステンレスメッシュブレーキホースSTIフロントアンダースポイラー&トランクスポイラー
【税抜き車両本体価格】3.940.000円(外装色クリスタルホワイト・パールは3万円高)
2007年と言えば「SIシャシー」が誕生した頃だが、4代目レガシィはSIシャシーと縁が無い。
今になって考えてみると、SIシャシーの要素をいくつか取り入れていたのだろう。
tuned by STI 2007のマルチリンク式リヤサスペンションは凄かった。
操縦性能と乗り心地を高次元でバランスさせた、優れたサスペンションに蛻変していた。
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この写真が脚の動きを一番解り易く見せている。撮影したのは当時、岐阜新聞中津川通信局に在駐した松野記者だ。
tuned by STIが、2005から2006に変わった時は、ベース車のマイナーチェンジ対応が主だった。ところが2007は根本的に違っていた。
最も大きな変化は、シャシーの基本を見直したことだ。それまでは硬く締める方向に進んでいたスポーツシャシーの考え方を、緩める方向に転換した。
それが4つのタイヤの動きを変えた。
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何度か往復し、
4つのタイヤがしなやかに路面を掴み、コシのあるゴツゴツしないサスペンションに痺れた。
芸術的なサスチューニングによる足腰の魅力と、小気味よいボクサーサウンドに調律された専用マフラーが、
それまでのスバルでは味わえなかった世界を初めて創り出した。
一人で走るとだんだんダイナミックになる。
さらに速度を上げて進入しても、クルマの挙動を完全に支配できた。
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この様に。
何度同じ所をハイペースで攻めても、シャシーは一向に音を上げなかった。
ハイパフォーマンスカーは、卓越した動力性能を、シャシー性能が上回れば上回るほど価値が高い。
「強靱でしなやか」と一口に言っても分かり難いが、
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うねった路面を軽快に走る姿は、クルマの全てを正直に語る。
開田高原のアスファルト路面には癖がある。奇麗に整っているように見えるが、
そのサーフェスには複雑な表情が有る。
安心感のあるサスの動きと、思いのままに扱える操縦性に感動した。
ただしtuned by STI 2007は、
STIのコンプリートカーとして、改造車の範囲を抜けられなかった。
だがこの成功は次の「S402」に繋がった。STIの歴史を語る上で、「S402」を絶対に欠かすことは出来ない。
なぜならば「S402」は、FHIのラインで製造された唯一のSTIコンプリートカーだ。いまだにこのクルマを超える作品が現れないのは、STIからその土壌が消えたからだ。
これらを今の状況にあてはめると、「Type-E」の質が解る。
「TypeーE」は、標準生産モデルとして、遂にtuned by STI 2007をキャッチアップした。
しかし「S402」を超えた訳ではない。
「S402」を語る逸話がある。4人乗車の「M3」と2名乗車の「S402」が、ノルドシェライフェで「ほぼ」互角に渡り合った。
その時のドライバーはどちらもプロの日本人だ。出会いは全くの偶然。結果的に「S402」が「M3」に道を譲ったが、両車の価格差を考えると、「S402」の優秀性が理解出来るだろう。
「Type-E」も御嶽の上り下りを通じて、ハッキリとその優秀性を見せつけた。
4人乗車の状態で、一人乗りのtuned by STI 2007を超えた。
しかも、コンプリートカーのようにシャシーに様々なテンションを掛ける事も無く、素の性能だけで上回ってしまった。
動力性能にも同じ事が言える。tuned by STI 2007のエンジンとトランスミッションには、STIのコンピューターチューニングが施されていた。
特にSI-DRIVEのインテリジェントモードに手が入り、エンジンの出力特性をリニアに引き上げた。「あの味」を体で覚えると、なかなか忘れられない。
4人乗った状態で、
「あの味」を思い出したと言うことは、
「Type-E」も大きなポテンシャルを持つ。
感心しながら蕎麦屋に行くと、
蕎麦前に美味しい白菜漬けが出た。
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草食一家なので蕎麦や漬物が大好物だ。白菜漬けは特に目が無い。発酵して旨味の出た野菜は、シンプルだが実に美味い。
一年掛けて熟成された「Type-E」は、真っ白な炊きたてのご飯に、これを添えて食べる美味しさだった。
次に山ほどある蕎麦に箸が進み、これらもペロリと平らげた。
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特にこの日は辛味大根を用意してくれたので、余計に箸が進んだ。
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何も付けずに辛味大根だけで食べると、余計に蕎麦の味が際立つ。甘いのだ。
クルマも余計なモノを付けずに、素の状態を知ることが大切だ。
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素の状態が悪い蕎麦に、いくら美味しい汁を付けても満足できる状態にはならない。
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この日の蕎麦はあまりに美味しかった。ざる一枚をペロリと辛味大根を添えただけで平らげた。
皆の腹が満たされたので、「Type-E」に乗って牧場へ向かった。
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スポーツ性能は、他に類を見ないほど高い。「日本に稀なハイパフォーマンスカー」と言っても過言では無い。
セダンとしての資質も高い。4つのドアは大きく開き、乗り降りの姿勢も楽だ。
シートの座面は滑りにくい素材で、カラダにジャストフィットする。不必要なほど拘束しないので、座り心地も良く乗り降りも妨げない。オトナ4人がゆったりできる。前席の余裕はもちろん、後席のニースペースもヘッドクリアランスも十分だ。
トランクスペース広く、ヒンジに工夫が施され荷物もたっぷり入る。
乗り心地も全般的に優れている。
セダンに必要な柔らかさを持ちながら、
スポーツセダンに必要な優れた操縦安定性も併せ持つ。
以前の動画で、アスファルト路面に段差があると、場合によって突き上げが出た、とレポートした。
理想を言えば無い方が良い。だが硬いブッシュを使ったクルマに、ある程度の荷重がかかると避けられない特徴だ。
最新型のBMWで同じ突き上げを感じた事を思い出した。
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空港からオトナ4人で乗った時、同じようなシチュエーションで似た突き上げを感じた。
放牧場に到着した。木曽馬の姿はどこにもなかった。
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いつもなら居るはずだが、視野のどこにも一頭も見えない。妻は馬より蕎麦の花に夢中だった。時の過ぎゆくのは速い。
ちょうど中川さんが通り掛かったので声を掛けた。
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彼は最近ユニークなお土産を開発した。
ここでしか換えない美味しいビスケットだ。
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タピタのパン屋さんとコラボしてるので美味しい。中川さんも自宅に石窯を持つほどの料理好きなので、味は抜群だと思う。
毎日ほぼ完売してしまうらしいので、木曽馬の里に行ったら真っ先に購入して欲しい。
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中川さんに馬の居場所を聞くと、草を探して丘の向こう側に移っていったらしい。子馬も二頭放たれているそうだ。
それなら呼べば良い。
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日頃から人馬関係?をきちんと整えている。
本気で呼べば来るはずだ。
妻は「おーい」と呼ぶ姿を見て、「何と馬鹿な男だろう」と思ったらしい。
ニンジン振りながら馬を呼ぶ、「オバカな写真」を撮ったつもりだったが、思わぬ展開に驚いた。
繰り返し呼ぶうちに丘の向こうに馬の背が見え始めた。
すると娘が気付いて、「あれ、馬が見えたよ」と言っている。
その内、こちらをじっと見る馬の存在に気がついた。そして一頭が走り始めた。
これには仰天したらしい。
嬉しそうに「ヒヒーン」と鳴きながら、子馬まで従えて来た。
動画をご覧戴きたい。馬でもクルマでも、日頃から嬉しがることをしてやれば、良く言うことを聞くはずだ。
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ニンジンは丸ごと与えず、囓らせた方が良い。てこの原理で食いちぎると、コリコリッと美味しそうに食べる。
だがデカイ歯が怖いと、オトナでもビビるようだ。
子馬はまだニンジンの美味しさを知らないが、人なつっこいので近くにドンドン寄ってくる。
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どんなもんだ。と言う顔をするのが妻にとってシャクに障るそうだ。
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ちょうどカリフォルニアから外人のツアー客が訪れていた。細かく刻んだニンジンや林檎を用意していたが、馬が居ないので半ば諦め掛けていたようだった。
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娘は慣れた手つきでニンジンを食わせていた。
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まだ小学生ぐらいの外国人は、餌を持つ手も頼り無く、少し腰も引けていた。
いくらアメリカ人でも、テキサス生まれじゃないと、馬はちょっと苦手なのかな。良い想い出になった事だろう。馬を呼ぶことが出来て良かった。
思いっきり開田で休日を楽しむのなら、良いクルマが不可欠だ。家族を飛び切りの場所へ連れて行った。
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ある場所から一瞬にして、空気の匂いが変わり、味まで変化する。
ただし熊が出るかもしれない。こう言う場所では、必ず声を出しながら歩く。
親子4人の性格が良く解る。
ちょっと引くタイプと、
積極的にガンガン前に行くタイプの半分ずつに分かれているのだ。
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奇麗な山野草がアチコチに咲いていた。
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ありとあらゆる場所に美しい苔がある。
まさしく癒やしの空間だ。
こうして4人乗車で200km以上走り回り、皆「Type-E」の性能に満足した。
その翌週、同じクルマで大阪に向かった。
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4人乗車でも卓越した動力性能と、操縦安定性を誇った「Type-E」から、約180kgのウエイトをそぎ落としたらどうなるのか。
クルマの本質は、
乗って、乗って乗り尽くさないと解らない。
高速道路で、
これまでとの違いが更に際立った。高原ドライブとは全く違う、高速巡航性能が際立つのだ。
矢のように加速し、粘着テープで路面に貼り付くように減速できる。
ブレーキペダルの踏み込みに対して、リニアに制動力が立ち上がる。
ブレンボの必要性を全く感じない。高速域からでもナチュラルで気持ちの良いブレーキだ。
ダンピングが良く効いて、姿勢変化も少なく、クルマの挙動を手の中に収められる。
このクルマの場合、SI-DRIVREはデフォルトでiモードにセットされる。
もうそれで充分速い。一人乗りだと凄く身軽で、STIに引けを取らない。
スポーツリニアトロニックは、SI-DRIVEと協調し、S#モードを選択すると8速自動変速に様変わりする。
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いやはや参りました。MT派を懐柔してしまうデキの良さだ。
いるか要らないかは別にして、最近の多段式ATは8速が主流だから、やる気になれば何でも出来るぞ!と誇示している。
BRZの6ATのように、最近は多段式ATのダイレクト感も凄い。
でも段数には制限がある。
スポーツリニアトロニックの場合は、それに制限が無いので面白い。
昔からCVTに馴染んでいると、CVTに比較して、多段式ATの連続性が良いという気持ちが、実はイマイチ良く解らない。
だからSモードでオートステップ制御になる気持ち良さを是非知って欲しい。
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まだ雨の降る前のドライコンディションで、SとS#を比較した。
S#は強烈な出力とパドルシフトで、ゲーム感覚でドライブを楽しめる。
Sでフルスロットルすると、これがまたドラマチックなんだ。
気持ち良くシームレスに加速するかと思うと、ちょっと強めのスロットル操作で、ポンポンと段階的に変速する。
高速道路を飛ばすなら、こちらの方が楽しいかもしれない。
そして料金所で渋滞すると、CVTの優位性は最高潮を迎えた。
どのようなシチュエーションでも、とにかくギクシャクしない。
大阪の環状線を走って実感した。「S4」にMTの搭載は不要だ。スバルの誇るスポーツリニアトロニックを、S4ブランドで徹底的に極めるべきだと思った。
それほど2つの組み合わせは良い。
スバルが高出力トランスミッションの開発を、リニアトロニック一本に絞ったのは、決して間違いでは無い。
そもそも300N・mに対応するリニアトロニックを、独自開発したことが凄い。
これをSTIと混同させず、「S4」ブランドとして眺めると価値が解る。
現在のハイパフォーマンス2ペダル市場は、高性能な多段式オートマチックトランスミッションと、ツインクラッチを用いたDSG(DCT)にほぼ別れている。
スバルはそのどちらにも関わらず、CVTで高性能化を極めた。
その効果はてきめんだ。名神高速道路から環状線や近畿道に合流するような、特に混雑する高速道路で明確な優位性を持つ。
多段式ATでは足りないギヤ比を、CVTはいとも簡単に産み出す。
デュアルクラッチが苦手とする低速域で、CVTは明らかに滑らかでショックがない。
スバルもレガシィで多段式ATを開発した。tuned bySTI 2007の、調律されたエンジンと5ATの組み合わせも悪くなかった。
それと「TypeーE」をトルクウエイトレシオで比べてみよう。BL5→343N・m/1480kg4.31kg/N・m
VAG→400N・m/1540kg3.63kg/N・m
この差は数値以上に気持ち良い。
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その上、混んだ市街地走行でとても効率が良い。だからトータル燃費が素晴らしく良くなる。
会議で美味い弁当が出た。
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蓋を開けると、見るからに美味そうに様々な食材が詰まっている。
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S4はこんなクルマだ。優れた安全性能。卓越した走り。環境変化をモノともしない優れた駆動制御。これらは下半分のご飯だろう。そして上に並んだ美味しいおかずが、ぶつからないEyeSightや、アドバンスドセイフティパッケージ(ASP)などの運転支援機能だ。
ASPの中でも特に中核を占める機能が、スバルリヤヴィークルディテクション(SRVD)だ。
SRVDは、死角車両検知(BSD:ブラインドスポットディテクション)と、車線変更支援(LCA:レーンチェンジアシスト)と、後退時支援(RCTA:リヤクロストラフィックアラート)に大別される。
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アイサイトの前方予防安全システムに対して、SRVDは後側方領域をカバーする安全システムだ。
アイサイトで補いきれない部分を、レーダー検知技術を活用し、「スバル オールアラウンド セイフティ」の一翼を担っている。
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もともと米国向けに開発が始まったシステムだ。北米の自動車環境は他の国とかなり違う。
米国における都市部のハイウエイは3車線以上で、自分の周りに常に複雑な自動車環境が存在し、それを検知することで目を見張るような効果を生む。
しかし日本でも、最近では複雑な道路環境が増えてきた。環状線から京滋バイパスに向かうジャンクションなど、典型的な場所だろう。
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ナビも高性能化し、道を解り易くMFDに出力する。
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以前より解り易くなっただけに、急なレーンチェンジも多くなった。
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それだけにSRVDが車線変更時や後退時にドライバーの視界を確保する意味は大きい。システムは単純だ。リヤバンパーの左右に、24GHz帯のレーダーを二つ備えているだけだ。
それぞれのレーダーは、車両を検知し演算するECUを内蔵している。左右のレーダーの内、左側がマスターレーダー、右側がスレイブレーダーの役割を担う。
スレイブとは非常にアメリカらしい表現だ。車両データはマスターレーダーがCANを通じて入手し、マスターはスレイブと専用CANを通じて相互通信する。
まずBSDは車両後方3mまでの後側方を死角と認識し、時速10㎞以上で作動する。
LCAは車線変更の際に、高速で近づくクルマを検知する。24GHz帯のレーダーは、70mの検知距離を持つので、衝突予測時間をレーダー内部で演算できる。
RCTAは後退するときに後方を横切ろうとするクルマを検知する。
このシステムは珍しいものでは無く、既にベンツには遙か以前に採用された。
したがって今回のシステムのサプライヤーは、コンチネンタルオートモーティブである事は明らかだ。
しかしS4に搭載するために、開発本部は数々の努力を積み重ねた。
同じ車線に居るクルマを認識させない工夫や、遠くのクルマに警報を発さないために、スバル独自の技術を盛り込んだ。
凄いのは「ゼロ円キャンペーン」だ。まるで携帯電話のチラシのようだが、スバルは購入者に対してキャンペーンを張っていた。
7万円以上の価値を持つASPを、購入する人に対して「無料」で付けた。
またしても苛酷な条件が偶然揃った。大阪への道程がいつもより長く感じた。
強烈な雨が襲ってきた。
アイサイトが機能を停止したほどだった。
しかし、それをモノともせず、
まるで晴れているかのように平然と走れた。
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これまで紹介した弁当のおかずは、見た目で味がおおよそわかる。
しかしご飯の違いはわかりにくい。カタログで後回しにされた、
新開発サスペンションの概要もそれと良く似ている。
たった一年間で飛躍的にサスペンション性能が向上した。その理由の一つは、サスペンションのフリクションを机上で計算出来るようになった。
このブログでも、良く「気持ちが良い」とか「美味しい」と表現するように、クルマの運動性能を論理的に数値化することは難しい。
特にドライバーがステアリングを操作し、タイヤが転舵を始めた時、どのように力が加わるのか。
そしてクルマがどのように回頭していくのか、解らないことがまだまだ多い。それを実験で繰り返し煮詰めるが、
結果を求めるのにかなりの時間が掛かる。
クルマにはロールとピッチとヨーの3軸の動きがあるが、その中でもヨーの出方を机上計算できれば、サスペンション開発の時間は大幅に短縮できる。
スバルはその技術を確立した。それが「TypeーE」の誕生に繋がった。もう一つの技術的進歩は、WRXの車体剛性の高さだ。
最近の自動車行政では、不用意にクルマを軽く作ると登録諸費用が高くなる。
したがって重くする工夫を凝らすのが、最近の傾向だ。勿論、ただ重くしては意味がないので、燃費も同時に高める必要がある。
スポーツカーのように、燃費に対してハードルが高いクルマほど、最近では軽いことを宣伝文句に使い難くなった。
しかし新型WRXは世界的に見ても、業界でトップクラスの軽量化技術を実現した。
ただ軽いだけでなく、スポーツカー並みの低重心化技術や、世界トップクラスの衝突安全性まで確立している。
WRXで新たに採用された技術は多い。設計から材料の選択、生産する技術まで多岐にわたっている。
その結果、WRXの実際の重さは、前のモデルよりトータルで5.4kg軽い。僅かな数値と侮れない。新型の捻り剛性は46.2%も旧型より向上した。これは軽量化指数を跳ね上げるので、旧型に対してそれは33%も向上した。
その秘密を握るのは東亜工業かもしれない。
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TOAのロゴをNBR参戦車などでご覧になった方も多いだろう。社長車を見ただけで、クルマ好きの度合いがビンビン伝わってくる。飯塚社長が中津スバルを訪れてくれた時、東京に出張していた。
残念だった。是非工場見学に伺いたい。
WRXでは車体骨格の45%に、590MPa以上のハイテンションスチールを使っている。その他にもアルミの採用で高強度化と軽量化を進めた。
しかし車体剛性を高めるために、更なる高剛性設計が盛り込まれている。だから塊感のある走りが楽しめる。
素の状態でSTIのコンプリートを超えた秘密が、ここに隠れている。
ハイテンションスチールも、
一番硬いモノだと980MPa級だ。
それがセンターピラーに使われている。
更に硬いホットプレス加工材も、
フロントピラーの剛性向上に役立っている。
フロントピラーはその機能上、
出来るだけ細くて剛性が高い方が良い。
断面を小さくしながら強度を高める方法を開発した。
それがパッチワーク&ホットプレス技術だ。
固い鉄を溶接した後、
600℃くらいまで熱してガツンとプレスする。
これがホットプレス加工材だ。
とてつもなく硬い。
しかし従来の工法ではプレス加工した後で、
もう一度スポット溶接する必要があった。
当然その部分は一度柔らかくなるので、
熱影響で強度が下がる。
新しい技術でホットプレスの前に、
全ての溶接を完結させる技術を編み出した。
この様に優れた技術の蓄積で、
「Type-E]は誕生した。
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往復510㎞を走って、
1リットル当たり10.5kmの実燃費だった。
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惜しいのはアイドリングストップが備わっていないことだ。以前の説明では、CVTの内部油圧を保持するためのオイルポンプを付ける余地がないと聞いた。
次のマイナーチェンジで、全てのクルマにアイドリングストップを望みたい。
それが唯一の課題だろう。
スバルのリリースした新たな商品は、とても素晴らしい。
ライン品質でしか出せない優れた特徴を備え、操縦安定性はコンプリートカー並みだ。研ぎ澄まされた性能を持つのに、お値段は僅か5万円の差に過ぎない。
ゼロ円キャンペーンと併せると、欧州のハイパフォーマンスカーの乗り味を、たったの335万円で手に入れられる。
ああ、なんて素晴らしいんだ。最後に総括したい。
念のため「Type-E」と「GT-S」のダンパーとスプリングを詳細に分析した。価格表で区分されたVAGB4S8と、VAGB4L8の部品構成を調べ共通部品を洗い出した。その結果ダンパーは全て別の設定に置き換えられていた。タイヤをもう一度見直し、ビルシュタインと徹底的に煮詰めた。
フロントのスプリングも新開発だ。共通部品はリヤのスプリングだけという、
想像通りの結果になった。
今回のS4は、「理想の乗り味に如何に近づけるか」という命題に対して、「Type-E」という解を導き出した。
これを実現させるための技術開発に加え、忘れてはならないことがあるようだ。
FHIには素晴らしい料理人が育った。
辰己英治、渋谷真とうい双璧に対して、とうとうそれを引き継ぐ役者が現れた。WRXの操安全体をまとめたようだ。
効果は顕著に表れ、「type-E」は乗り心地と限界性能の双方で大きく進歩した。
またレヴォーグとも共有していた、アクティブトルクベクタリングの過敏な反応も霧散させた。
サスペンションのフリクションを低減させ、245/40R18の高いグリップ力を生かし切っている。
タイヤのパフォーマンスをしっかり引き出せば、アクティブベクタリングも過敏にならない。
これは普通の人には解らない。でも最新のアウディやBMWのハイパフォーマンスカーを乗りこなす人は、ドイツ仕立てのVDCとの違いを感じるだろう。
昨年、大阪をレヴォーグの2.0GT-Sで往復した時、
高速道路を高い速度でクルージングした。
下りで僅かに舵角が掛かると、旋回方向に向かって外側の前輪に特徴的なVDCの反応が出た。
それが危ないわけでは無いし、不快なわけでも無い。
「なぜだ」と思ったに過ぎない。
「TypeーE」で同じ行程を走った。
「たった一年で・・・・」
その仕上がりには、もう唸るしかなかった。最高の料理は、「ヘビーウエット」という苛酷な状況下で、特に美味い!
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迷う必要は何もない。
「Type-E」を安心して購入して欲しい。
おわり